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相続について

個人とみなされる納税義務者

個人以外も納税義務者になる

 相続税や贈与税の納税義務者というと先ずは個人を思い浮かべると思います。

 しかし、個人でない場合であっても相続税や贈与税が課されることがあるのです。

 それがいわゆる「個人とみなされる納税義務者」と呼ばれるものです。

個人とみなされる納税義務者

 
 相続税法第66条1項においては、「代表者又は管理者の定めのある人格のない社団又は財団に対し、財産の贈与又は遺贈があった場合においては、当該社団又は財団を個人とみなして、これに贈与税又は相続税を課する」と定めているのです。

設立の為の財産提供も同様

 上記に定める社団や財団を設立する為に財産の提供があった場合も同様に贈与税又は相続税の納税義務が課される事となります。(相法第66条二項

人格のない社団・財団とは?

 
 そもそも「社団」や「財団」とは何でしょうか?

〔社団〕

 社団とは、一定の組織を有する人の集合体であり、構成員の増減変更にかかわりなく存続し、一個の単一体として構成員から独立して存在する団体のことをいいます。

〔人格のない社団〕

 具体例を挙げると、PTA、同窓会、町内会、婦人会等が該当します。
 これらの団体は、社団としての実態を有しているものの法律上、権利義務の帰属主体となれないことから「人格のない社団」と呼ばれています。 

〔財団〕

 一定の目的の為に捧げられた財産の集合体であり、一定の規則により管理され、社会生活上権利義務の主体として認められるものをいいます。
 財団の実態は、一定の目的によって拘束された財産(目的財産)です。
 財団は、社団と異なり、構成分子たる構成員を有しません。

〔人格のない財団〕

 一定の目的の為に捧げられた財産を中心として、これを運営する組織を有するものを指します。
 実体としては、財団法人と同じでありながら、主として法律上の技術的要件を欠く為に法人格を有しないものを「人格のない社団」と呼びます。

住所は何処?

 相続税や贈与税について、その納税義務の有無を判断するに当り重要な要素となるのが「住所」です。

 当然、人格のない社団や財団についても住所が重要な要素となってきます。

 では、その住所は、どのように判定するのでしょうか?

 人格のない社団や財団の住所は、「その主たる営業所又は事務所の所在地」にあるものとみなされるのです。
相法第66条三項

法人税は控除される

 
 人格のない社団や財団が何らかの事業活動を行っている場合、その事業活動が収益事業に該当すると、その社団や財団に対し、法人税が課されます。

 では、法人税が課された社団や財団に対して、相続税や贈与税が課された場合にはどうなるのでしょうか?

 この場合、その課された法人税については、課されるべき相続税や贈与税から控除される事となっているのです。
相法第66条五項

非課税となる場合もある

 人格のない社団や財団が個人とみなされて、相続税や贈与税の納税義務者となった場合であっても、その社団等が遺贈や贈与により取得した財産が公益事業用財産に係る相続税の非課税規定に該当する場合には、相続税等は非課税となります。
相法第12条一項3号

持分の定めのない法人にも課税される

 人格のない社団や財団に対する相続税・贈与税の課税規定は、「持分の定めのない法人」に対しても準用されます。

条件がある

 但し、持分の定めのない法人に対して遺贈や贈与により財産が移転すると即座に相続税等が課されるという訳ではありません。

 持分の定めのない法人に対する財産移転に対して相続税等が課される場合というのは、「その贈与又は遺贈をした者の親族その他これらの者と特別の関係がある者」の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められる場合に限られているのです。

不当に減少する結果となると認められる場合とは?

 持分の定めのない法人に対して遺贈等により財産が移転した場合、それが「相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められる場合」に該当するか否か?の判定は、相続税法施行令第33条第3項に掲げる要件を満たすかどうかにより行います。
昭39.06.09_付 直審(資)24・直資77_通達14

公益事業用財産の非課税規定は適用されない

 前述したとおり、人格のない社団等が贈与等により財産の移転を受けた場合であっても、その財産が公益事業用財産に係る相続税の非課税規定に該当する場合には、相続税等は非課税となります。

 一方、持分の定めのない法人に対し、贈与等により財産が移転した場合において、その財産の移転が、その贈与等をした者の親族その他これらの者と特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときには、たとえその財産が公益事業用財産に係る相続税の非課税規定に掲げる財産であっても相続税等は非課税となりません。
 
 持分の定めのない法人に対して相続税等を課税するか否か?の判定は、その財産が公益事業用財産に係る相続税の非課税規定に掲げる財産であるか否か?ではなく、相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるか否か?で判定されるからです。

持分の定めのない法人とは?

 持分の定めのない法人とは、例えば下記の掲げる法人を指します。
昭39.06.09_付 直審(資)24・直資77通達13

 
 1.定款、寄附行為若しくは規則(これらに準ずるものを含む)又は法令の定めにより、当該法人の社員、構成員(当該法人
   へ出資している者に限る)が、当該法人の出資に係る残余財産の分配請求権又は払戻請求権を行使することができない法
  人。

 2.定款等に社員等が当該法人の出資に係る残余財産の分配請求権又は払戻請求権を行使することができる旨の定めはあるが
   、そのような社員等が存在しない法人。

≪終わり≫

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