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相続について

養子縁組の取消し_配偶者の同意が無い場合

既婚者は配偶者の同意が必要

 配偶者のある者が養子縁組をする場合、つまり、養親となる、或いは、養子に入る場合には、その配偶者の同意を得なければなりません。(民法第796条

 例えば、A男が養親又は養子になろうとしている場合には、その配偶者であるB子の同意が必要になるという訳です。

知らない間に共同相続人が増えると困る

 なぜ配偶者の同意が必要になるか?と言いますと、B子の知らない間に共同相続人となり得る者が増えてしまうと困るからです。

 例えば、A男が甲を養子にとったとします。

 そうすると、養子である甲は、法律上はA男の実子とみなされますので、A男に相続が発生すると、配偶者であるB子と養子である甲が共同相続人となります。

 また、A男が乙の養子に入ると、乙は、A男の親とみなされますので、A男に相続が発生し、A男に子がいなければ、配偶者であるB子と養親である乙が共同相続人となります。

 このように養子をとる又は養子に入るという事は、配偶者の立場からみれば、自分と共同相続人になり得る者が増える事になります。

 よって、配偶者のある者が養子をとる又は養子に入る場合には、必ずその配偶者の同意を得なければならないのです。

但し、例外もある

 上記のとおり、原則は配偶者の同意を得なければなりません。

 但し、下記の場合には、配偶者の同意を得なくても良い事とされています。

 ■配偶者ともに養子縁組をする場合
   その配偶者も一緒に養子縁組をするという事は、既に同意を得ているものと同視出来る為、同意は不要とされています。

 ■意思表示を出来ない場合
   その配偶者が病気や行方不明等のやむを得ない理由により、同意の意思を表示出来ない場合には、     
  同意は不要とされています。

あくまでも同意のみ

 ちなみにその同意をした配偶者は、あくまでも同意のみであり、同意した事によりその同意した配偶者も一緒に養親又は養子になってしまう訳ではありませんので、ご安心下さい。

同意無しになされた養子縁組は取り消せる

 配偶者の同意無しになされた養子縁組は、どうなってしまうのでしょうか?

 この場合、その養子縁組は取り消しの対象となります。

取り消しの請求

 同意を得ずに養子縁組をなされた場合には、その同意をしていない配偶者は、その養子縁組の取り消しを家庭裁判所に請求する事が出来ます。

但し、お早めに

 しかし、この養子縁組の取り消し請求は、同意していない配偶者がその養子縁組の事実を知った日から6ヶ月を経過してしまうと、取り消し請求が出来なくなってしまいます。

 又、たとえ6ヶ月を経過していなくともその同意していなかった配偶者が、その養子縁組を改めて承認(追認)した場合にも同様に取り消し請求が出来なくなってしまいます。

詐欺・脅迫によって同意してしまった場合には?

 確かに養子縁組をする場合には、その配偶者の同意が必要となります。

 しかし、もしもその同意が詐欺や脅迫に基づく同意であったとしても同意してしまった以上、もはやその養子縁組は取り消せないのでしょうか?

詐欺・脅迫による同意は取り消せる

 詐欺や脅迫により同意してしまった場合には、その養子縁組の取り消しを家庭裁判所に請求する事が出来ますので、ご安心下さい。

但し、こちらもお早めに

 確かに詐欺や脅迫による同意により成立した養子縁組は、取り消し請求の対象となります。

 しかし、詐欺に遭った者、或いは、脅迫されていた者が、その詐欺を発見し又は脅迫から免れてから6ヶ月を経過してしまうと、その養子縁組の取り消し請求は出来なくなってしまいます。

 又、たとえ6ヶ月を経過していなくともその詐欺にあった者又は脅迫されていた者が、その養子縁組を改めて承認(追認)した場合も同様に取り消し請求が出来なくなってしまいます。

≪終わり≫

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