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相続について

みなし相続財産

相続・遺贈以外でも課税される

 相続税は、相続や遺贈によって取得した財産に対して課されるのが原則です。
 
 例えば、被相続人が所有していた現金預金や有価証券、土地建物といった不動産等、被相続人固有に帰属する財産は、その代表例であり、これらの財産を相続・遺贈により取得した場合には、相続税が課される事となります。

 しかし、世の中には、被相続人固有の財産でなくとも結果的に相続・遺贈によって取得したものと同様の経済効果をもたらすものがあります。

これを相続税法においては、「みなし相続財産」と呼び、相続税の課税対象とされているのです。

みなし相続財産の具体例

 では、どのようなものが「みなし相続財産」に該当するのでしょうか?

 相続税法の定めにより相続材が課される「みなし相続財産」には、下記のものが挙げられています。

≪みなし相続財産≫
  ■生命保険金等(相法第3条1項一号
  ■退職手当金・功労金等(相法第3条1項二号
  ■生命保険契約に関する権利(相法第3条1項三号
  ■定期金に関する権利(相法第3条1項四号
  ■保証期間付定期金に関する権利(相法第3条1項五号
  ■契約に基づかない定期金に関する権利(相法第3条1項六号
  ■その他の利益の享受(相法第4条、7条、8条、9条
  ■信託に関する権利(相法9条の2~9条の6

相続人か否か?で取得原因が異なる

 上記「みなし相続財産」に掲げる財産を取得すると、相続又は遺贈により取得したものとみなされる事となります。

 では、「相続」により取得したものとみなされる場合と「遺贈」により取得したものとみなされる場合の境目は何処にあるのでしょうか?

 それは、「相続人」であるか否か?によって分かれてくるのです。

相続人である場合

 みなし相続財産を取得した者が「相続人」である場合には、当該財産を「相続」によって取得したものとみなされます。

なお、ここでいう「相続人」には、相続を放棄した者及び相続権を失った者は含まれません。

 一方、みなし相続財産を取得した者が「相続人以外」である場合には、当該財産を「遺贈」によって取得したものとみなされます。

〔相続を放棄した者〕

 「相続を放棄した者」とは、民法の定めに基づいて家庭裁判所に対し相続放棄の申述を行った者を指します。

 つまり、正式な手続きを経て相続を放棄した者のみを指すのです。

 従って、正式に相続放棄の手続きを経ずに事実上相続により財産を取得しなかったにとどまる者は、「相続を放棄した者」には含まれませんので注意が必要です。(相基通3-1

〔相続権を失った者〕

 「相続権を失った者」とは、民法第891条「相続人の欠格事由」、民法第892条「推定相続人の廃除」及び民法第893条「遺言による推定相続人の廃除」の定めに基づいて相続権を失った者のみを指します。

 従って、例えば、A男がB子に対して口頭で「あなたには相続権は無い!」と主張してもB子は「相続権を失った者」には該当しない事になります。

葬式費用との関係

 相続財産を取得した者が、被相続人の葬式費用を負担した場合には、その負担した葬式費用は、その負担をした者の相続財産の価額から控除して相続税額を計算します。

 この場合において、その相続財産を取得した者が相続を放棄した者及び相続権を失った者であるときは、原則として葬式費用を控除する事は出来ません。

 但し、相続を放棄した者及び相続権を失った者が現実に被相続人の葬式費用を負担した場合においては、その負担額は、その者の遺贈によって取得した財産の価額から控除しても差し支えないものとされています。(相基通13-1

≪終わり≫

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