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相続について

監護者の同意が無い縁組の取消し

15歳未満の養子縁組

 養子になろうとする者が15歳未満である場合には、その本人単独の意思では養子縁組を成立させる事が出来ず、法定代理人が本人に代わって養子縁組の承諾をする事になります。(民法第797条

法定代理人

 では、この場合の法定代理人とは一体誰の事を指すのでしょうか?

 ここでいう法定代理人とは、一般的には、親権者又は未成年後見人を指します。

 よって、養子になろうとする者が15歳未満である場合において、親権者又は未成年後見人が承諾していない場合には、その養子縁組は成立しない事になります。

監護者の同意が必要な場合も

 上記のとおり、養子になろうとする者が15歳未満である場合には、その親権者又は未成年後見人が本人に代わって養子縁組を承諾します。

 しかし、親権者や未成年後見人の他に養子になろうとする者の父母で監護者として定められている者がある場合には、その監護者の同意を得なければ養子縁組は成立しません。

 例えば、父母が離婚し、母親が親権者となり、経済力のある父親が監護者となった場合において、親権者である母親だけの意思で養子縁組がなされてしまうと、その後は、養親が監護者となるので、父親の監護者としての監護権が一方的に奪われてしまいます。

 このような不合理を防止する為に養子になろうとする者の父母で監護者となる者が別に定められて
いる場合には、その監護者の同意を得なければ、養子縁組を成立出来ない事とされているのです。

監護者の同意が無い縁組の取り消し

 では、監護者の同意無しに養子縁組がなされてしまった場合は、どうなるのでしょうか?

 この場合、その同意していない監護者は、その養子縁組の取り消しを家庭裁判所へ請求する事が出来ます。(民法第806条の3

但し、追認等してしまうと取り消せなくなる

 しかし、その監護者がその養子縁組を追認(承認)してしまうと、もはや取り消しの請求は出来なくなってしまいます。

 また、養子となった者が満15歳になった後、その本人自身がその養子縁組を追認(承認)した場合、又は、養子となった者が満15歳になった後6ヶ月を経過してしまった場合も同様に取り消しの請求が出来なくなります。

 これは、満15歳に達した者は、親権者等の同意無しに本人の自由意思で養子縁組を行う事が出来る事とされている為です。

詐欺や脅迫があった場合

 もし、詐欺や脅迫によって監護者が同意をさせられた場合には、家庭裁判所に対し取り消しの請求をする事が出来ます。

 但し、詐欺にあった事を知ってから6ヶ月を経過した場合、又は、脅迫を逃れてから6ヶ月を経過してしまうと、取り消しの請求は出来なくなってしまいます。

 また、たとえ6ヶ月を経過しなくても監護者が改めてその養子縁組を追認(承認)してしまうと、やはり取り消しの請求は出来なくなってしまいます。

≪終わり≫

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