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・			「前回では、成年者や胎児の認知について教えて貰ったけれど、この認知の効力はいつから始 まるのかしら？ 」		・
・			「認知がなされると、その効力は、その認知された子の出生の時に遡って効力が発生するのよ。（民法第784条）」		・
・			「へぇ〜じゃあ、その子が10歳の時に認知されたとしたら、その認知された時からじゃなく、生まれた時点に遡って父と子の関係が成立するって事なんだ？」		・
・			「そのとおりよ。今の例で言えば、10歳まで子供を育ててきた母親は、その認知した父親に対しそれまでに要した養育費の分担を求める事も出来るのよ。」		・
・			「あら、そうなのですの？じゃあ嘘ついて20年分位の養育費を請求しても良いのかしら？割増キャンペーン中ってことで♪」		・
・			「10歳の子なのに20年分の養育費を請求したら嘘だとバレるに決まっているでしょ？おバカさんね・・・」		・
・			「そんな薬九層倍な 悪徳商売人のような事を考えていると、天罰として脳天に隕石が直撃するわよ・・・」		・
・			「出生時に遡って父と子の親子関係が成立するってことは、当然その認知された子は、実の父親の相続人にもなれるって事だよね？」		・
・			「いいところに気が付いたわね。そのとおりよ。認知された子は、当然実の父親に対する相続権を持つ事になるわ。しかも、 認知は遺言によっても出来るのよ。（民法第781条2項）」		・
・			「ヘぇ〜、遺言でも出来るんだ？」		・
・			「そうよ。その遺言による認知はその遺言者が死亡した時に成立するわ。だから例えば、実の父親が死亡して大分経ってから子を認知する旨の遺言書が見つかれば、 実の父親が死亡した後に認知されるっていう可能性もあるのよ。」		・
・			「でもその場合だと実の父親が死亡してから相当期間経過しているから、既に遺産の処分が終了してしまっているかもしれないでしょ？ そうなったら遺産を相続出来なくなってしまうのかしら？」		・
・			「その点は安心よ。もし、認知された時点で既に遺産の処分が終了してしまっている場合には、その認知された子は、自分が本来相続出来る筈だった相続分に 相当する金銭を他の相続人に対して請求する事が出来るのよ。（民法第910条）」		・
・			「良かった。それなら安心ね。」		・
・			「但し、認知の効力が出生時に遡るといっても第三者が既に取得した権利を害する事は出来ないから注意が必要よ。（民法第784条但し書き）」		・
・			「それは、どういう事ですの？」		・
・			「例えば、未成年である子に親権者がなく後見人がついていた場合にその後見人の同意を得てその未成年の子から土地を購入したとするわね。」		・
・			「後見人の同意を得ているのだから、その土地の購入は正式に成立するわね。」		・
・			「そのとおり。その後、その未成年の子が認知されると、認知の効力は出生時に遡る訳だからその子は出生時から親権者である父親が存在していた事になるわよね？」		・
・			「うん。そうだね。」		・
・			「そうなると一見、後見人は土地の売買時点において同意する権限を失っていたかのように思えるけれど、その土地の売買は無効とはならないの。 だからその未成年の子から土地を購入した者は、その土地を返還する必要は無いってわけ。」		・
・			「なるほど。確かに認知される度に既に完了した取引が無効になってしまったら不便ですものね。」		・
・			「あ〜あ・・・それにしてもどこかのお金持ちのおじ様が、私を実の娘として認知してくれないかしら？そうすれば華麗なセレブ界へショートカット出来ますのに・・・」		・
・			「あなたには立派なご両親がいるでしょ。ホントにバチ当りな娘ね・・・」		・
・			「まったくよね。是非とも隕石に直撃して貰いたいわね。ではまた次回！ばいばい！」		・

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