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「さて、前回では、認知の効力はその認知された子の出生時に遡って効力が発生するというお話をしたけれど、
認知というものは、一旦成立してしまうと取り消す事が出来ないのよ。(民法第785条)」
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「まあ!では認知する際には、切る手遅かれ
の心構えで決断しないといけませんわね。」
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「そうね。民法の条文上では『認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない』と定めているのだけれど、母子関係については、
出産の事実をもって母と子の親子関係は当然に発生すると考えられているから、実際上は『認知をした父は、その認知を取り消すことができない』
という事になるでしょうね。」
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「一旦認知してしまったら最後、絶対に取り消せなくなってしまうのかしら?」
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「以前はそうだったのだけれど、今現在は絶対に取り消せないとも言えない状況なのよ。」
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「どういうこと?」
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「実は、2014年1月14日の最高裁判決において、『一旦子を認知した法律上の父は、認知の無効を請求することが出来る』という旨の判決が出ているのよ。」
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「う〜む・・・法律と異なる趣旨の判決が出たのね。」
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「そうなのだけれど、この判決には『その認知した父と子との間には実際の血縁関係が無かった』という大前提があって、実際には自分と血縁関係が無い子を一旦は認知したものの、
その後においてその認知の無効を認知した父が提起したという事案だったのよ。」
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「なるほど。その裁判の結果、一旦は有効となった認知について、その無効が認められたって訳だね。」
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「そうなの。だからこの認知取り消しの禁止を定めている民法第785条は、『認知をした父又は母は、“親子の事実が存在する限り”、
その認知を取り消すことができない』と解釈すべきなのかもしれないわね。」
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「法律の文言よりも実際の血の繋がりを重視するって訳ね。」
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「そうね。以前から学説上では『血縁関係の無い認知は無効』という考え方が主流だったらしいのだけれど、このように最高裁が判決を示すのは初めてらしいわ。」
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「あら、私だったらたとえ認知する父との間に血の繋がり無くたって、認知する父がお金持ちでありさえすれば、
遠慮無く私を娘として認知して下さって構いませんのに・・・」
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「血が繋がってもいないゴクつぶし代表みたいなあなたを娘として認知するような物好きは、この銀河系内には存在しないわよ・・・」
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「ちなみに騙されたり、脅迫されたりして認知した場合であっても血の繋がりがあるのが事実であれば、やはり取り消しは認められないと言えるわ。」
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「へぇ〜。騙されて認知したのだったら、取り消しを認めても良さようなものだけどね?」
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「これもやはり『血の繋がりがある』という事実が大前提になるのだけれど、たとえ騙されたり脅迫されて認知したとしても血の繋がりがある以上は、
強制認知の訴えを提起すれば認知される事になるから、取り消させる必要が無いのよ。」
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「なるほど。あくまでも血の繋がりが重要って訳だね。」
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「私は、血縁よりもお金の方が・・・」
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「はいはい、もうお終いお終い・・・」
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「血の繋がりよりもお金を重視するバチ当り娘は放っておいて今回はここまで。ではまた次回!ばいばい!」
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