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「今回は、父が婚姻外の子を『自分の子です』と認知した後におけるその子の監督保護についてお話しするわね。」
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「婚姻外の子が、父親に認知されるとその父親との間に親子関係が発生して、扶養して貰えたり、父親の財産を相続出来るようになるんだったよね?」
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「そのとおりよ。扶養して貰う事や財産を相続する事も大事だけれど、普段の生活において誰がその子の面倒をみるのか?という点も大事でしょ?」
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「確かにそうですわね。神哉の事だったらその辺の野良猫にでも預けておけるけれど、世間一般ではそうは参りませんものね。」
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「あら、こんなのを預けられたら野良猫にとってもハタ迷惑ってもんでしょ。」
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「それもそうですわね♪」
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「ちょっとちょっと・・何が『それもそうですわね♪』だよ、まったく・・・。こんな
純真無垢な弟を野良猫に預けようだなんて、冷凍ミカン級に冷たい姉だね・・・」
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「それでその認知された子の監督保護っていうのは、どうするのかしら?」
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「認知された子の監督保護については、民法第766条に規定されている『父母が協議離婚した場合における未成年の子の監督保護』の規定に準じて取り扱われる事になるのよ。」
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「なるほど。じゃあ、『監督保護者を誰にするか?』といった事はもちろんの事、その監督保護の内容・方法・期間・費用等を決める事になるわけね?」
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「そういうこと♪」
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「それって具体的には、どうやって決めるの?」
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「原則として、父母の話し合いで決める事になるわ。でも、その話し合いがまとまらない場合、或いは、父母の片方が病気や行方不明その他の理由
で話し合いが出来ない場合には、家庭裁判所が決めるのよ。」
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「なるほどね。」
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「でもここで大切なのは、父母同士の話し合いで決めるにしても家庭裁判所が決めるにしても『最優先すべきは子の利益』って事なのよ。」
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「父母それぞれの都合や自己満足を優先させてはいけないって事ですわね。」
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「そうよ。だから家庭裁判所は、子の利益の為に必要があると認めるときは、一旦決まった監督保護者や監督保護に必要な事柄を変更したり、
その他監督保護について必要な処分を命令する事が出来るようになっているの。」
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「ところでさ、よく『親権者』って言葉を聞くけれど、これは『監督保護者』とは別モノなのかな?」
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「そうね。『監督保護者』と『親権者』は、その役割という意味では、別個の存在と言えるわね。」
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「どんな違いがあるのかしら?」
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「『監督保護者』というのは、その名のとおり『子を監督し、保護する者』という意味であり、この監督保護者が実際に子の面倒をみる事になるの。
それに対し『親権者』というのは、主に法律的に子を代表する役割があるのよ。」
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「その監督保護者って誰がなれますの?」
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「一般的には、父母のどちらか一方がなるのだけれど、第三者から選んでも差し支えないわ。」
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「えっ!第三者からですって?」
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「ええ、そうよ。監督保護者が、具体的に子の面倒をみる事になるから、経済的な理由等から父母以外から選んだ方が子の利益になると判断されれば、
父母以外の者を監督保護者とする場合もあり得るのよ。」
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「なるほど。子の利益が最優先ですものね。ところで、『監督保護者』と『親権者』は同一人が兼ねても構いませんのかしら?」
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「ええ、もちろんよ。同一人が兼ねても構わないし、反対に父母のどちらか一方が監督保護者になり、もう一方が親権者になる事も可能よ。」
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「でも、母親がいるって事は、通常は母親が親権者になるのでしょう?」
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「まあそうね。婚姻外の子が父親に認知された場合、通常は母親が親権者になるわ。でも父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、
父を親権者とする事も出来るわよ。(民法第819条4項)
」
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「なるほどね。」
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「さっきお話ししたとおり、家庭裁判所は、監督保護者を決定したり、その他監督保護について子の利益の為に必要な処分を命令する事が出来る訳だけれど、監督保護以外の点については、
父母の権利を奪ったり義務を免除する事までは出来ないわ。」
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「つまり、子を扶養する義務や結婚に同意する権利等は、監督保護に吸収される事無く、依然として父母にあるって訳ね。」
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「そのとおりよ。」
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「でもまあ何にせよ、神哉の監督保護者は、三丁目の魚屋さんの軒下をねぐらにしている野良猫のミケを指定するのが妥当だと思いますわ。」
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「まだ言ってるよこの冷凍ミカン姉は・・・。どうせならせめて公園の土管に住み着いているタマの方にしてよね。」
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「ミケでもタマでも好きな方を選んでいいわよ。という訳で今回はここまで。ではまた次回!ばいばい!」
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