|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「ねえ、みんな。以前、『養子縁組』についてお話ししたのを覚えているかしら?」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「覚えておりますわ。確か・・・お金持ちのおじさまと養子縁組をすると、そのおじさまの全財産を無条件で自分のモノに出来るのでしたわね?」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「金欲にまみれているからだいぶ捻じ曲がった牽強付会
な我説が頭にインプットされているようね・・・」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「確か養子縁組をすると、実際には血の繋がりが無くても法律上は実の親子として取り扱う、という制度ではなかったかしら?」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「そのとおりよ。この養子制度には、大きく分けて『普通養子』と『特別養子』という2つの養子制度があるのだけれど、今回は、
その内の普通養子制度について詳しく話してみるわね。」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「そもそも普通養子縁組ってどうすれば良いのですの?」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「普通養子縁組をするには、いくつかの条件を満たす必要があるわ。」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「条件?」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「そうなの。条件を付けておかないと、誰でも好き勝手に普通養子縁組をしてしまって混乱を招くでしょ。」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「確かにそうだね。お姉ちゃんみたいに養子制度を悪用する輩もいるだろうからね。」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「“悪用”だなんて人聞きが悪いですわね。自分に利益をもたらす為に“活用”しているだけですわ。」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「どう解釈するかは、気の持ちようってことね・・・。その条件ってどんなものがあるのかしら?」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「先ずは、『条件1.養子をとる事が出来る年齢』があるわ。」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「ふ〜ん。何歳になれば養子をとれますの?」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「養子をとる者を『養親』と呼ぶのだけれど、この養親になれるのは、成年に達した者でなければならないのよ。(民法第792条)」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「なるほど。じゃあ、二十歳にならないと養親にはなれないんだね。」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「ん?ちょっと待って。確か民法上では、年齢が二十歳に達していなくても婚姻すれば、成年に達したものとみなされるのではなかったかしら?」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「そのとおりよ。たとえ年齢が二十歳未満であっても婚姻する事によって民法上は成年に達したものとみなされるわ。(民法第753条)」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「じゃあ、二十歳未満であっても婚姻していれば、養親になれるんだ?」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「そうよ。二十歳未満であっても婚姻していれば、養子をとる事が出来るわ。もし、この条件を満たさずに養子縁組をしてしまうと、
その養子縁組は取り消しの対象になってしまうのよ。」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「若い人が養親となる場合、自分よりも年上の方を養子に迎える事ってありますの?自分より年上の養子って何だかビミョーですものね・・・」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「いい質問ね。実はそれも条件の1つになっていてね、『条件2.目上の親族や年上は養子にとれない』事になっているのよ。
(民法第793条)」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「なるほど。『目上の親族』っていうと、自分からみて叔父とか叔母ってことかな?」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「そうよ。民法上では『尊属又は年長者は、これを養子とすることができない』と定められているの。だから、たとえ年下であっても自分の叔父や叔母を養子にする事は出来ないってわけ。」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「なるほどね。自分がある人の養子になったとすると、その養親の弟や妹は自分から見れば叔父・叔母に該当するから、
その叔父・叔母が自分より年下になる可能性はあるものね。」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「そのとおりよ。ここで問題を1つ。この条件2をよく考えると、自分の凄く身近な人を養子に出来るんだけど、それは誰の事か分かるかな?」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「自分からみて年上と尊属はダメなんだから・・・!?・・・もしかして、弟と妹かしら?」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「大正解!実は、自分の弟と妹は、自分自身の養子にする事が可能なのよ。」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「え〜!何の為に自分の弟や妹を自分の養子にするのさ?だって養子って自分の子って意味でしょ?」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「確かにちょっと奇異な感じがするわよね。でもね、自分が被相続人となった場合の兄弟姉妹の法定相続人となれる順位を良く考えてみて。
兄弟姉妹の順位は何番目だったかしら?」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「え〜と・・・被相続人の配偶者は常に相続人になれるし、子供は第一順位で相続人になれますわね。」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「第二順位は、配偶者と直系尊属だったね。」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「兄弟姉妹は第三順位だから一番下位って事になるわね。」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「そうなの。被相続人の兄弟姉妹の順位は一番下位だから、他に優先される相続人がある場合には、兄弟姉妹には、原則として遺産は行き渡らない事になるわ。」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「確かにそうだね。」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「でもね、例えば自分の弟や妹が重い病気を患っていて、治療費を遺してあげたいと思った場合、弟や妹を自分の養子にすれば、その弟や妹は第一順位の相続人になれるわ。
そうすれば確実に遺産を遺してあげられるでしょ?」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「なるほど。確かに遺産を遺してあげられるわね。」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「おお!なんて感動的な話なんだろう。さあ!お姉ちゃん!僕を養子にして、遺産を遺して頂戴な♪」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「もちろん嫌ですわ♪」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・
|
|
|
「電光石火の即答で見事に拒否されたわね。まあ、神楽の養子になったところで借金しか遺してくれないと思うわよ。
という訳で今回はここまで。続きはまた次回!ばいばい!」
|
|
・
|
|
|
|
|
|
|