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「確か、個人が財産を贈与された場合には、税務署へ申告しなければなりませんのよね?」
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「ええ、そのとおりよ。財産の贈与を受け、贈与税額が算出される個人は、その贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日までの間に納税地の所轄税務署長に対し、
贈与税の申告書を提出し、贈与税額を納付しなければならないわ。」
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「それにしても誰からどんな財産を贈与されたのよ?」
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「何処の誰っていうか、昨日合コンに来ていた大金持ちのボンボン息子をね、嘘を交えて言葉巧みに誘導して、その子の銀行預金残高
の全額を私の銀行口座へ送金させただけですわよ。」
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「『だけですわよ。』って、それを世間では『詐欺』って呼ぶんだよ。お姉ちゃん・・・」
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「大人しく自首しなさい。」
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「自首だなんて、それだけは鉄心石腸
をもって拒否しますわ。私だってプロですもの!」
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「でも確か、贈与税には『基礎控除額』ってモノがあって、その金額を超えなければ申告は不要なのではなかったかしら?」
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「そのとおりよ。贈与税の基礎控除額は、贈与を受けた個人一人当たり年間110万円までと定められているわ。」
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「なるほど。年間110万円までの範囲内だったら、贈与税が課されない訳だね。」
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「ええ、そのとおりよ。ちなみに贈与税の基礎控除額を規定しているのは、相続税法の第21条の5
なんだけど、そこでは60万円と定められているのよ。」
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「110万円ではありませんの?」
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「110万円である旨の定めているのは、租税特別措置法という別の法律なの。その措置法の第70条の2の4
に110万円とする旨が定められているのよ。」
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「へぇ〜。なるほどね。」
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「ところで、贈与っていうのは、贈与する側が『この財産をあげるよ。』と意思表示し、贈与を受ける側が『有難く頂戴します。』と意思表示する事によって
初めて成立するのだったわよね?」
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「ええ、そのとおりよ。このように当事者双方の合意だけで成立する契約を『諾成契約』
って呼ぶのよ。贈与契約も諾成契約の一つなのだけれど、この契約は必ずしも書面による必要はなく、口頭による契約でも有効となるわ。」
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「でも、口頭だけだと、後々揉めた時に困らないかしら・・・?」
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「確かにそうね。口頭のみによる贈与は、既に贈与を履行した部分を除き、贈与者或いは受贈者のどちらからでもその贈与を取り消す事が可能だから、後々の争い事を避ける為にも
贈与書面を取り交わす事が大切だわね。」
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「贈与の書面は作っておいた方がいいって訳だね。ところでさ、贈与税の申告書って、贈与者と受贈者の氏名や住所、贈与された財産の種類や価格等の詳細が記載されていて、贈与された日付も記載されているでしょ?
これって贈与契約書の代わりにならないのかな?」
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「なるほど。贈与税申告書で代用出来るなら贈与契約書を作る手間が省けますものね。たまにはナイスな事を言いますのね。ショウジョウバエよりは
知恵があるみたいですわ。」
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「そうだと良いのだけれど、残念ながら贈与税申告書を提出したというだけでは、必ずしも贈与の成立を証明する事が出来るとは限らないわ。」
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「あら、どうしてですの?」
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「贈与契約書の作成といった意思確認も大切なのだけれど、贈与の成立を証明する上で最も大切なのは、実質的な事実なの。」
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「実質的な事実?」
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「ええ。例えばね、親から子への贈与によって、不動産の所有者名義を子供に変更したものの、その不動産を管理し運用しているのが親であれば、不動産の贈与
は履行されていなかったと考えられるでしょ?」
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「確かにそうね。表面上だけ子供名義に替えていても、事実上は親のモノって言われるかもしれないわね。」
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「だから贈与契約の成立を主張するには、名義を替える等といった表面的な事実は勿論の事、その実質的な面でも受贈者に移転していなければならないって訳よ。」
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「なるほど。単に贈与税の申告書を提出するだけでは、贈与契約の実質的成立を証明するには足りない訳だね。」
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「そうね。『贈与税申告書を提出する』という行為は、贈与契約の成立の有無を判断する上での1つの材料に過ぎないと言えるでしょうね。」
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「ところで、お金持ちのボンボンから搾取したお金は、このまま私が有難く頂戴してしまってよろしいですわね?」
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「ダメに決まっているでしょ!さっさと自首しなさい!」
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「ちぇっ・・・。このまま懐に入れてしまおうと思いましたのに・・・」
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「よくもまあ次から次へと悪知恵を身に付けてくるもんだわね。ある意味尊敬するわ。という訳で今回はここまで。ではまた次回!ばいばい!」
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