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「最近、近所を歩いていると、随分と空き家が目立ってきたわよね?」
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「ずっと空き家のままだと防犯上も良くないよね?何かいい方法は無いのかな?」
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「そうね。相続で被相続人が済んでいた家屋を取得したものの相続人達は自分の家があるから空き家のまま放っておくケースが多いみたいね。そこで、この問題点
を解決する為に『空き家に係る譲渡所得の特例(3,000万円の特別控除)』が創設されたのよ。」
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「え〜・・・。空き家が減ってしまうと私、困ってしまいますわ・・・」
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「どうしてさ?」
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「どうせあなたが悪巧みをする際に勝手に入り込んでアジトにしているのでしょ?悪びれることなく年中そんなことばかりしているんだから。
」
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「あら、私だって耳を掩うて鐘を盗む
思いでおりますのよ。でも仕事なのだから仕方ありませんわ。」
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「何が“仕事”よ、まったく・・・。ところで、その特例制度はどんな内容なのかしら?」
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「この特例は、相続又は遺贈により、被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした個人が、一定の期間内に一定の譲渡をした場合には、当該
譲渡を『居住用財産の譲渡』とみなして、『居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除』が適用出来るっていう特例よ。」
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「へぇ〜。じゃあ、空き家を譲渡して譲渡益が発生しても、それが3,000万円以内なら税金が発生しない訳だね。
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「でも『被相続人居住用家屋』って何のことですの?」
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「被相続人居住用家屋っていうのはね、当該相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であって、昭和56年5月31日以前に建築された
こと、当該相続開始の直前において当該被相続人以外に居住をしていた者がいなかったこと等の要件を満たすものをいうのよ。」
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「じゃあ、被相続人居住用家屋の敷地等っていうのは、当該相続開始の直前において、当該被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等を指す訳かしら?」
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「ええ、そのとおりよ。」
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「ふ〜ん。この特例は、いつの譲渡から適用になりますの?」
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「ここがちょっと複雑なのだけれど、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡し、且つ、
その譲渡日が、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に属している譲渡から適用となるわよ。」
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「譲渡日以外には、条件は無いのかい?」
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「いいえ。譲渡日以外にも条件があって、一定の要件を満たす譲渡でなければならないわ。これには、大きく分けて『1_現状のままの譲渡』と『2_建物を取り壊
してからの譲渡』の2パターンがあるのよ。」
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「1の『現状のままの譲渡』といいますと?」
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「これは、当該相続若しくは遺贈により取得をした被相続人居住用家屋で次に掲げる(イ)及び(ロ)の要件を満たすものの譲渡、又は、当該被相続人居住用家屋とともに
する当該相続若しくは遺贈により取得をした被相続人居住用家屋の敷地等で(イ)に掲げる要件を満たすものの譲渡を指すのよ。」
- (イ)当該相続の時から当該譲渡の時まで事業の用、貸し付けの用、又は、居住の用に供されていたことが無いこと。
- (ロ)当該譲渡の時において、地震に対する安全性に係る規定又は基準に適合するものであること。
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「2の『建物を取り壊してからの譲渡』っていうのは?」
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「これは、当該相続又は遺贈により取得をした被相続人居住用家屋で、次の(イ)に掲げる要件を満たすものの全部の取壊し等をした後における当該相続又は遺贈
により取得をした被相続人居住用家屋の敷地等の譲渡を指すのよ。但し、当該敷地については、下記の(ロ)及び(ハ)に掲げる要件を満たすものに限られるわ。」
- (イ)当該相続の時から当該取壊し等の時まで事業の用、貸付けの用、又は、居住の用に供されていたことが無いこと。
- (ロ)当該相続の時から当該譲渡の時まで事業の用、貸付けの用、又は、居住の用に供されていたことが無いこと。
- (ハ)当該取壊しの時から当該譲渡の時まで建物又は構築物の敷地の用に供されていたことが無いこと。
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「なるほど。つまり、相続等で取得してから譲渡する時まで『ずっと空き家だった』という事実が必要になる訳ね。」
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「そういうこと。但し、たとえ上記の要件を満たす建物又は敷地等の譲渡であったとしても、その譲渡対価の額が1億円を超えるものは、当該特例を受けること
は出来ないから注意が必要よ。」
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「ふっ・・・。それは残念ですわ。私だったら口八丁手八丁で価格をふっかけて、1億円超で譲渡する自信がありますのに・・・
」
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「そういう自信は持たなくていいわよ。この譲渡対価が1億円を超えるか否か?の判定は、一定期間内に当該相続による被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家
屋の敷地等の取得をした相続人がした当該譲渡に係る資産と一体として当該被相続人の居住の用に供されていた家屋又は当該家屋の敷地の用に供されていた
土地等の譲渡対価の額との合計額で判定するから要注意ね。」
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「なるほど。例えば、被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等を2回に分けて譲渡した場合等は、その合計額をもって1億円を超えるか否か?を判
定する、という訳ね?」
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「そのとおりよ。それから、この特例は、『相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(措法39条)』、いわゆる「相続税の取得費加算」の特例との選択適用となるから
この点も注意が必要よ。(措法35条3項)」
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「この特例は、どういう手続きをすれば、受けられるんだい?」
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「この特例は、所得税の確定申告書に市区町村長の当該被相続人居住用家屋及び当該被相続人居住用家屋の敷地等が、上述した『1_現状のままの譲渡』に掲げる
要件(イ)、又は、『2_建物を取り壊してからの譲渡』に掲げる全ての要件を満たすことの確認をした旨を記載した書類その他の書類の添付がある場合に適用
されるわ。」
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「なるほど。要件をよく確認して是非ともこの特例を受けたいものですわね。」
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「最後にもう1つ注意点があるわ。この特例は、空き家となっている建物“及び”その敷地を相続又は遺贈で取得した個人を対象としているの。だから、例えば、
空き家である建物を相続人甲が取得し、その敷地を相続人乙が取得した場合等、空き家と敷地を別々の者が取得すると、甲及び乙の両者共にこの特例を受ける
ことは出来ないのよ。」
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「空き家と敷地をセットで取得しないとダメって訳だね。」
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「それにしても譲渡対価が1億円超だと適用を受けられないだなんて・・・。私の手腕を発揮出来なくてとても残念ですわ・・・」
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「そんな詐欺的手腕は発揮しなくていいわよ。ほんとに一度逮捕されてこっ酷い目に遭わないとその悪癖は直らないみたいね。困った娘だこと・・・。という訳で
今回はここまで。ではまた次回!ばいばい!」
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