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「ちょっと神哉。あなたお正月に親戚のおじさん達から貰ったお年玉がまだ残っていましたで
しょ?それを私に投資しなさいな。
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「ちょっと!ちょっと!何のっけから赤字確実な投資話を弟に持ちかけているのさ?」
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「確かにノーリターン・ハイリスクな投資話だわね・・・」
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「あら、私はたった一人の弟の後見人的存在ですわよ。その立場からあなたの財産を増やすのにひと肌脱いであげようとしているだけですわよ?」
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「別にいいよ、脱がなくたって・・・。僕はリスクのある投資なんかしないでコツコツと貯金するのが好きなんだから。」
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「まあ、張三李四な男ね・・・。きっと○玉も小さいのでしょうね・・・」
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「でも、あなたみたいに後見人としての立場を悪用して被後見人の財産を侵害する事件があるから、それを防止する為の対策がきちんと講じられているのよ。」
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「へぇ〜。それは安心だね。世の中にはお姉ちゃんみたいなお金の亡者がウヨウヨいるからね。それはどんな対策なの?」
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「後見人が、後見人によって保護される未成年被後見人や成年被後見人を自分の養子とする場合には、その養子となる者の住所地域にある家庭裁判所の許可を得なければならないのよ。」
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「なるほど。家庭裁判所の目を通す事によって、後見人が好き勝手に被後見人を自分の養子にして、その養子の財産を蝕むのを防ぐ訳ね。」
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「そのとおりよ。これは、後見人としての任務は終了したものの被後見人の財産計算がまだ完了していない場合には、その財産計算が完了していない期間中も同様の扱いとなるの。」
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「でもさ、何らかの理由で家庭裁判所の許可を得ずに養子縁組が成立してしまった場合にはどうなるの?お姉ちゃんみたいに役所の人間にこっそりと“袖の下”を渡す輩もいるからね。」
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「まあ!失礼な事を言わないで欲しいですわ。渡す時は、人目をはばからず堂々と渡しますわよ。」
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「少しは、はばかりなさいよ・・・」
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「その場合でも安心して。家庭裁判所の許可を得ずに成した養子縁組は、取り消しの対象となるから。この取り消しは、養子本人又は養子の
実家側の親族から家庭裁判所に請求する事が出来るのよ。」
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「それなら安心だね♪」
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「でも注意してね。この取り消しの請求は、後見の為の財産管理計算が完了した後、養子本人が改めてその養子縁組を承認(追認)したり、又は、その財産管理の計算完了の時から6ヶ月を経過してしまうと
、原則としてその養子縁組を取り消す事は出来なくなってしまうから。」
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「まあ!じゃあ、ずるい口車に乗せられて迂闊に承認しないようにしないといけないわね。」
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「この承認なんだけれど、その承認をする為には、養子本人が成年に達しているか、又は、行為能力を回復、
つまり、後見開始の審判が取り消された後でなければ、その承認は効力を生じない事になっているのよ。」
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「じゃあ、財産管理計算が終了した後、成年に達する前や後見開始の審判が取り消される前に養子本人がその養子縁組を承認したとしてもそ
の承認は無効となって、養子縁組の取り消し請求が出来る訳だね?」
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「ちぇ・・・。じゃあ、“気持ちがおおらかになるお薬”を飲ませて承認させるだけではダメですわね。」
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「ちょっとあなた、何変な薬を飲ませようとしてるのよ?」
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「さっきも言ったけれど、原則として後見の為の財産管理計算が完了した後、6ヶ月を経過してしまうとその養子縁組の取り消し請求は出来なくなってしまうのだけれど、
この『6ヶ月』の起算には、特例があるのよ。」
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「へぇ〜。どんな特例なの?」
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「財産管理計算が完了した時点において、その養子が成年に達しておらず、又は、後見開始の
審判が取り消されていない場合には、『6ヶ月』の起算は、養子が成年に達した時、又は、後見開始の審判が取り消された時から起算するのよ。
」
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「なるほど。つまり、財産管理計算が完了してから既に6ヶ月を経過してしまったとしても、その6ヶ月を経過した時点において、養子が未成年だったり、又は、後見開始の審判が取り消されていなければ、
未だその養子縁組の取り消し請求は出来る訳ね。」
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「そのとおりよ♪」
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「ふふ・・・。じゃあ、ヤドクガエルの心臓とアブラコウモリの脳みそをじっくりコトコト煮込んで作った秘薬を飲ませて承認させればどうかしら?」
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「だから薬の調合方法は問題じゃないんだってば・・・」
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「まったく妙な薬学を心得ているんだから困った娘ね。変な薬を飲まされないように気をつけなきゃ。という訳で今回はここまで。ではまた次回!ばいばい!」
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