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「私、将来は絶対に超超超大金持ちのイケメンと結婚する予定なのですけれど、もしもうっか
りミスで神哉のようなオタンコナスなボンビー男と結婚してしまったら、さっさと何処かの大資産家の娘として養子に入ろうと思っておりますの。
」
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「何が『思っておりますの。』だよ、まったく失礼な姉だね・・・。面壁九年
の末、この間ようやく大人買いの象徴だった『ロールケーキの一本喰い』を達成したんだからね。僕だって将来大金持ちになるのは夢じゃないさ!
」
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「あら、配偶者のある者が養子縁組をする場合、つまり、養親となる或いは養子に入る場合には、その配偶者の同意を得なければならないのよ。貴方の場合は後者ね
(民法第796条)」
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「ふんっ!!旦那の意向なんて完全無視ですわ!」
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「いやいやいや・・・だからそれは駄目なんだってば・・・。」
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「どうして配偶者の同意が必要になるのかしら?」
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「それはね、配偶者の知らない間に共同相続人となり得る者が増えてしまうと困るからよ。」
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「そっか、例えば夫であるA男が妻であるB子に内緒で甲を養子にしたとすると、養子である甲は、法律上はA男の実子とみなされるから、A男に相続が発生すると配偶者で
あるB子と養子である甲が共同相続人になるからって訳ね?」
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「そのとおりよ。同様にA男が乙の養子に入ると、乙はA男の親とみなされるからA男に相続が発生し、A男に子がいなければ、配偶者であるB子
と養親である乙が共同相続人になってしまうからね。」
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「確かに養子をとる又は養子に入るって事は、配偶者の立場からみれば、自分と共同相続人になり得る者が増える事になるもんね。」
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「まあ!もしも旦那が私に内緒で養子をとったりしたら、ハラワタが煮えくり返って鼻の穴から煮こぼれてしまいますわ!」
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「あなたみたいなのがいるから、配偶者の同意が必要って決められてんのよ・・・」
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「でも、その配偶者が病気や行方不明で同意を得られない場合もあるでしょう?」
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「確かにそうね。この同意規定には例外があって、その配偶者も一緒に養子縁組をする場合と病気や行方不明等で同意の意思表示
が出来ない場合には、その同意は不要とされているわ。」
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「なるほどね。その配偶者も一緒に養子縁組をするって事は、既に同意を得ているものと同視出来るし、病気や行方不明等のやむを得ない理由で同意の意思
を表示出来ない場合には仕方が無いって訳だね。」
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「万が一、配偶者の同意無しで養子縁組が成立してしまった場合は、どうなりますの?」
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「安心して。配偶者の同意を得ずになされた養子縁組の場合、その同意をしていない配偶者は、その養子縁組の取り消しを家庭裁判所に請求する事が出来るから。」
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「あら、それなら安心ですわね。」
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「でも、この養子縁組の取り消し請求は、同意していない配偶者がその養子縁組の事実を知った日から6ヶ月を経過してしまうか、又は、
たとえ6ヶ月を経過していなくともその同意していなかった配偶者が、その養子縁組を改めて承認(追認)した場合にも同様に取り消し請求
が出来なくなってしまうから注意が必要よ。」
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「もしさ、詐欺とか脅迫されて同意させられてしまった場合はどうなるのかな?そういう事が大得意な人物が隣にいるんだけど・・・」
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「ふふ・・・。詐欺・脅迫といえば、私の専門分野ですわね。」
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「詐欺や脅迫により同意してしまった場合でも、その養子縁組の取り消しを家庭裁判所に請求する事が出来るわよ。」
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「ですって。残念ね、神楽?」
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「ちぇっ・・・」
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「但し、これも、詐欺に遭った者、或いは、脅迫されていた者が、その詐欺を発見し又は脅迫から免れてから6ヶ月を経過してしまうか、
又は、たとえ6ヶ月を経過していなくともその養子縁組を改めて承認(追認)してしまうと取り消し請求が出来なくなってしまうからね。」
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「じゃあじゃあ♪超強力な催眠術にかけて同意させれば良いのではなくて?催眠術なら詐欺でも脅迫でもないからギリギリセーフですわよね?」
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「思いっきりアウトよ!」
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「よくもまあ、催眠術やら詐欺やら人を騙す術を知っているわねこの娘は・・・。皆さんもこういう娘には気を付けてね。という訳で今回はここまで。
ではまた次回!ばいばい!」
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