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「ちょっと聞いてくださいな。可愛くて賢い私はいい事を閃いてしまいましたの。まさに
知略縦横なプランですのよ。」
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「へぇ〜。また腹黒さ120％のアイデアなんでしょうね・・・。」
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「どうせ手っ取り早くお金持ちになる為に相続等で財産を得た年端もいかない子供を自分の養子にする、とかいうプランでしょうに。」
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「（ギクッ！）ど、ど、どうして分かりましたの？悪事の天才である私にしか思いつかないプラチナプランでしたのに！」
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「確かに自分自身が成年に達すれば、養子をとる事が出来るけれど、我が姉ながらよくそんなブラックなアイデアを思いつくもんだね・・・」
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「でもね、未成年者を自分の養子にしようとする場合には、その未成年者の住所地域にある家庭裁判所の許可を得なければならないのよ。
（民法第798条）」
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「じゃあ、間違いなく却下されるわね。」
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「そんなぁ・・・。悔しいですわ。家庭裁判所の許可無しで養子縁組を組む方法はありませんの？」
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「まあ無いことも無いわよ。たとえ養子になる者が未成年であっても養親になる者、つまり自分又は自分の配偶者の直系卑属を養子にする場合であれば、その養子になる者が未成年であっても
家庭裁判所の許可無しで養子縁組をする事が出来るのよ。」
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「むむぅ〜。その為には先ずは私が結婚していないといけませんのね。でも結婚なんていう窮屈なことはしたくありませんわ・・・」
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「未成年と言えば、婚姻している者は成年とみなされるんだよね？（民法第753条）」
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「ええ、そうよ。男性は満16歳、女性は満18歳に達していれば、婚姻する事が可能であり
（民法第731条）、婚姻した者は、たとえ満二十歳未満であっても成年とみなされるわ。」
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「確か、満15歳に達した者は、保護者の同意無しに本人の自由意思で養子縁組を組めるのでしたわね？」
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「という事は、『婚姻する=満15歳以上』となるのだから、本人の自由意思で養子になる事が可能となり、且つ、婚姻している者は成年とみなされる為、
家庭裁判所の許可無く養子縁組を組む事が可能になる訳ね。」
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「ええ、そのとおりよ。」
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「未成年者を無許可で養子にした場合は、どうなるのかな？」
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「養子になる者が未成年者である場合、家庭裁判所の許可が無ければ、その養子縁組の届出は受理されず、養子縁組は成立しないのが大原則なのだけれど、
何らかの手違い等により誤って受理されてしまった場合には、取り消しの対象となるわ。（民法第807条）」
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「それはそうね。その取り消しはどうすれば良いのかしら？」
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「この取り消しは、養子本人、養子の実家側の親族又は養子に代わってその養子縁組を承諾した者から家庭裁判所に対して取り消しの請求をする事
によって取り消す事が出来るんだけれど、注意点があるの。」
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「注意点？」
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「ええ。この取り消しの請求は、その養子が成年に達してから6ヶ月を経過してしまうと出来なくなってしまうのよ。」
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「へぇ〜、じゃあ、早めに取り消し請求をしないといけないね。」
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「また、たとえ成年に達してから6ヶ月を経過していなくてもその養子となった者が改めてその養子縁組を追認（承認）してしまうと、
やはり取り消しが出来なくなってしまうから注意してね。」
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「なるほど・・・。取り消しが出来なくなる状況を作り出せば良いのですわね。という事は、いよいよ長年研究してきた
“アレ”を試す時が来たようですわね。ふふふ・・・」
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「いったい何を長年研究してきたのかしらね。“アレ”の正体が気になるけれど今回はここまで。ではまた次回！ばいばい！」
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