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「ふと思ったんだけれど、世の中にはお姉ちゃんのような小悪党に騙されたり強迫されたりして養子縁組をしてしまい、後々その養子縁組を取消す事になった、なんていうケースもある
と思うんだよ。その場合ってどういう取り扱いになるのかな?
」
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「まあ!藪から棒に何を言い出しますの?ちょっとその辺のコンビニで散弾銃を買ってきて雉も鳴かずば撃たれまいということわざの意味を実体験させてあげようかしら。
」
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「何でも揃うコンビニでもさすがに散弾銃は売ってないわよ。『ゴムパチンコ千発撃ちの刑』で勘弁してあげなさいな。」
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「まあまあ、その辺になさい。ところで、詐欺や強迫を原因として養子縁組を取消す場合の取扱いや養子縁組の取消しの効果については、実は、
婚姻の取消しの場合の規定が準用されるのよ。(民法第808条)」
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「へぇ〜、そうなんだ。じゃあ、騙されたり、強迫された事によって養子縁組の届出をした者は、その取消しを家庭裁判所に請求するってことなの?」
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「ええ、そのとおりよ。これは、『詐欺又は強迫による婚姻の取消し』と同様の取扱いとなっているわ。」
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「という事は、追認した場合等だと取り消せなくなってしまうって事よね?確か婚姻の取消しの場合はそういう扱いだったと思うけれど・・・」
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「おっ!流石にするどいわね。そのとおりよ。養子縁組の取消し請求は、騙された者がこれに気付き、又は、強迫された者がその強迫から逃れてから6ヶ月
を経過してしまうと、取消し請求権が消滅してしまうわ。」
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「婚姻の取消しの場合だと、たとえ取消し可能な期間内であっても、当事者が改めてその婚姻を承認(追認)してしまうと取消せなくなってしまうけれど、
養子縁組の取消しの場合も同様なのかしら?」
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「そうよ。たとえ6ヶ月を経過していなくてもその騙された者又は強迫された者が、改めてその養子縁組を承認(追認)してしまうと、
やはり取消し請求権が消滅してしまうわ。」
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「婚姻の取消し可能期間は、確か3ヶ月以内だったと思うけれど、養子縁組の取消し可能期間は6ヶ月以内なんだね?」
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「そうなの。同じ詐欺や強迫を原因とする場合であっても養子縁組の取消し請求の場合は、6ヶ月以内となっているわ。この点、婚姻取消しと養子縁組の
取消しとでは、差異が生じているわね。」
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「確か、婚姻が取消された場合、その効力は将来に向かってのみ生じて、過去には遡らないことになっていましたわよね?養子縁組の取消しの場合も同じですの?」
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「ええ、そのとおりよ。養子縁組を取消した場合、その取消しの効力は将来に向かってのみ生じ、過去には遡らないわ。取消されるまでは『有効』、
取消された以降は『無効』になるって訳よ。」
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「ほほぉ〜、じゃあ、『養子縁組を取消す以前に養親から財産を贈与されていた』なんていう場合にはどうなりますの?そこんところ超超超気になりますわね。ふふふ・・・」
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「確かにあなたなら気にするポイントでしょうね。でも安心して。その財産を得た当事者が、その養子縁組をした時点において、将来その養子縁組が取消される
事を知らなかった場合には、養子縁組が取消された時点で現に残っている財産を相手方へ返還すれば足りるのよ。」
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「じゃあ、例えば、将来その養子縁組が取消される事になるとは夢にも思っていなかった養子が、その養子縁組に関連して養親から現金を1億円贈与され、
その後、養子縁組が取消された時点で100万円しか残っていない場合には、その100万円を贈与者へ返還すれば足りるという事かしら?」
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「ええ、そのとおりよ。但し、その当事者がその養子縁組をした時点において、将来その養子縁組が取消される事を知っていたときは、
その養子縁組によって得た財産の全部を返還しなければならないから注意が必要よ。」
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「へぇ〜。そうなんだ。」
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「しかも、その返還請求者が、将来において養子縁組が取消される事を知らなかった場合には、財産を返還する者は、返還請求者に対し損害賠償をする
責任も発生するのよ。」
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「じゃあ、例えば、養親になる者(甲)を騙して、乙が養子になったとするじゃない?この場合、乙は、将来においてその養子縁組が取消される事
を知っているけれど、甲はその事実を知らないって事になるわよね。」
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「うん。そうだね。」
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「この場合、その養子縁組に関連して養子である乙が、養親である甲から1億円の現金を贈与
され、その後、養子縁組が取消された時点において、たとえ乙の手元に100万円しか残っていなくても甲には1億円を返還しなければならないって事になる訳ね?
」
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「そのとおりよ。しかも、乙は甲に対し損害賠償をする責任も生じてしまうわ。」
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「え〜、困りますわ・・・。そんな踏んだり蹴ったりの目に遭うのでは、私のビジネスモデルが成り立ちませんわ・・・。」
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「いやいやいや、これで成り立たなくなるビジネスモデルを考案している時点でダメでしょ?」
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「まったくどんな商売を考えていたのかしらね、この娘は。一度、警察から家宅捜査を受けるといい薬になるかもね。という訳で今回はここまで。ではまた次回!ばいばい!」
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