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「私のカラオケ友達に某国のマフィアの首領がいるのですけれど、折角ブラックビジネスで巨
万の財産を築いたのに相続税でガッポリ課税されると思うと、悔しくて頭に10円ハゲが出来てしまったそうですわ。
」
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「マフィアの首領がカラオケ友達って・・・。いったいどんな交友関係なのさ?どうせ管鮑の交わり
とは程遠い利害関係のみの交友だろうけど・・・」
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「でも、マフィアの首領のくせに相続税の心配をするだなんて、案外庶民的なのね?」
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「まあ、その首領の国ではどういう制度になっているか分からないけれど、日本においては、原則として相続や遺贈によって取得した全ての財産がその課税対象となるからね。」
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「基本的には、現金や土地・建物等といった有形物はもちろんの事、定期金を受ける権利等といった無形物であっても貨幣価値に換算出来る財産であれば、相続税が課される訳よね?」
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「そのとおりよ。とは言え、相続や遺贈によって取得した財産の中には、その性質や社会的な見地、或いは、国民感情等を考慮すると課税対象とする
事が適当と言えない財産があることも事実だわね。」
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「確か、そのような財産に対しては、相続税を課さない事としているのではなかったかしら?」」
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「ええ、そのとおりよ。このような財産を『相続税の非課税財産』と呼んでいるのよ。」
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「へえ〜。その非課税財産って具体的にはどんなモノがありますの?」
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「非課税財産の種類は、相続税法や租税特別措置法において限定列挙されている
(相法第12条、措法第70条)のだけれど、その中の1つに『皇室経済法の規定によって皇位とともに皇嗣が受けた物』っていうのがあるのよ。」
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「その『皇室経済法』って何?」
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「確か、皇室の財産の授受、皇室費・皇室経済会議などについて定めている法律よね?」
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「そのとおりよ。この皇室経済法の第7条には『皇位とともに伝わるべき由緒ある物は、皇位とともに、皇嗣(こうし)が、これを受ける。』と定められている
のだけれど、この皇嗣が、皇位とともに受け継ぐ「由緒ある物」には、相続税を課さない事とされているのよ。(相法第12条一号)」
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「その『皇嗣』って誰の事を指しますの?ひょっとして私の事かしら?」
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「ぜんぜん違うわよ。『皇嗣』っていうのは、皇位継承の第一順位にある者、つまり『皇太子』を指すの!」
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「ふ〜ん。皇位とともに受け継ぐ『由緒ある物』ってどんなモノなの?もしかして伝説の携帯育成ゲーム『タマ○ッチ』の事かな?」
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「きっとそうですわよ♪」
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「絶対に違うわよ・・・」
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「ここでいう『由緒ある物』とは、次の3つのモノを指しているのよ。」
- 八咫鏡(やたのかがみ)
- 天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)
- 八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)
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「どれも日本神話に出てくる代物ね。」
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「どうしてこれらの物は、非課税とされますの?」
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「非課税とされる理由として、次の3点が挙げられているわ。」
- 憲法上の特殊な地位に随伴するものであること。
- 自由に処分することができない性質のものであること。
- 国家的見地。
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「ほほおぅ、神話性を持たせれば非課税となりますのね。じゃあ私がブラックビジネスで稼いだお金で純金製のヤマタノオロチ
像を作れば非課税になりますわね・・・。皮膚の質感まで生々しく超リアルに作って見せますわ。ふふ・・・」
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「だから神話性だけで非課税にしているんじゃ無いっての!」
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「まったくこの娘は勉強そっちのけでどんなブラックビジネスをやっているのかしらね。妙な才能があって困ったものだわ。という訳で今回はここまで。
ではまた次回!ばいばい!」
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