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税制改正ポイント

〔平成27年1月1日施行〕贈与税(暦年課税)の税率構造の改正

改正の内容

 従来、暦年課税における税率構造は、贈与者や受贈者の年齢や範囲に関係無く一律に定められていました。
 この度の平成25年度税制改正においては、この税率構造が改正され、一定の要件を満たす贈与者及び受贈者の場合には、通常の税率よりも低い税率による申告納付が可能となりました。

一般税率と特例税率

 今回の改正により贈与税率の構造が、『一般税率』と『特例税率』の2つに区分されました。

特例税率とは?

 特例税率とは、『特例贈与財産』に適用される税率を指します。

特例贈与財産

 特例贈与財産とは、次の要件を満たす受贈者が、次の要件を満たす贈与者からの贈与により取得した財産をいいます。

 □受贈者の要件
   財産の贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者。

 □贈与者の要件
   上記の受贈者の直系尊属(父母や祖父母など)である者。

一般税率とは?

 一般税率とは、上記の特例贈与財産以外の財産に適用される税率を指します。

改正後の贈与税率

  改正後の贈与税率は、こちら をご参照ください。

改正後の税率表をみてみますと、基礎控除(注)後の課税価格が、200万円以下の税率は、一般税率・特例税率ともに変わりはありません。
 (注)基礎控除額は、受贈者1人当たり年額110万円です。

一般税率の変更点

 改正後の一般税率の変更点は、次のとおりです。

課税価格1,000万円以下の部分

 改正後の一般税率をみますと、基礎控除後の課税価格が1,000万円以下までの税率には、変更がありません。

課税価格1,000万円超の部分

 一方、課税価格が1,000万円を超えた場合の税率が、改正前は、一律50%だったものが、45%・50%・55%の3段階に細分化されております。

最高税率

 また、最高税率が、改正前は50%だったのに対し、改正後は55%に引き上げられております。

特例税率を一般税率と比較すると?

 今回の改正により創設された特例税率をみますと次のような特徴があります。

最高税率

 最高税率は、特例税率も一般税率と同様に55%となっております。
但し、一般税率の方は、課税価格が3,000万円を超えると55%になるのに対し、特例税率の方は、課税価格が4,500万円超から55%となる点に違いがあります。

各階層の税率

 課税価格200万円超~4,500万円以下の各階層の税率を比較しますと、特例税率は一般税率よりもおよそ5%~10%低い税率構造となっています。

具体的な比較

 基礎控除後の課税価格が1,000万円の場合の贈与税額を一般税率と特例税率とで比較してみましょう。

一般税率の場合

 一般税率の場合の贈与税額は、下記のとおりとなります。
  〔贈与税額〕
    1,000万円×40%-125万円=275万円

特例税率の場合

 特例税率の場合の贈与税額は、下記のとおりとなります。
  〔贈与税額〕
    1,000万円×30%-90万円=210万円

両者の差額

 上記のとおり、課税価格1,000万円の場合における一般税率と特例税率との差額は、65万円となります。
 □一般税率の場合 275万円
 □特例税率の場合 210万円
 □差額       65万円

この特例税率を活用する事により、子供や孫といった若い世代への財産移転がしやすくなったといえるでしょう。

一般贈与財産と特例贈与財産を同時に贈与された場合は?

 暦年課税による贈与税額は、受贈者毎に計算します。
よって、場合によっては、同一の受贈者が同一年中に一般贈与財産と特例贈与財産の両方を贈与により取得するケースも想定されます。

 この場合の贈与税額は、どのように計算するのでしょうか?
では、具体的にみてみましょう。

贈与税の計算方法

 一般贈与財産と特例贈与財産を取得した場合の贈与税額は、下記の①と②の合計額となります。

 ①一般贈与財産に対応する金額・・・a×(A/C)
 ②特例贈与財産に対応する金額・・・b×(B/C)

A:一般贈与財産の価額
B:特例贈与財産の価額
C:合計贈与価額(A+B)←ここから基礎控除額を差し引きます。
a:合計贈与価額Cについて一般税率を適用して計算した金額
b:合計贈与価額Cについて特例税率を適用して計算した金額

具体例

 では、具体例でみてみましょう。

贈与により一般贈与財産(A)を100万円、特例贈与財産(B)を400万円取得したと仮定します。
この場合、基礎控除後の課税価額は、390万円(=500万円-110万円)となります。

 ①一般贈与財産に対応する金額
   (390万円×20%-25万円)×100万円/500万円=106,000円

 ②特例贈与財産に対応する金額
   (390万円×15%-10万円)×400万円/500万円=388,000円

 ③贈与税額合計 ①+②=494,000円

適用開始時期

 この改正は、平成27年1月1日以後の贈与により取得した財産に適用されます。

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