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税制改正ポイント

〔平成26年1月1日施行〕小規模宅地等_老人ホーム入所_居住用宅地等の要件緩和

改正の概要

 被相続人が居住していた家屋の敷地について、小規模宅地等の特例を受ける為には、相続開始直前においてその家屋にその被相続人が居住していた事が適用要件の一つとなっています。
 しかし、昨今の高齢化社会を反映し、介護等の理由から高齢となった被相続人が、老人ホーム等へ入所した為にその被相続人が居住していた家屋が空き家になるケースがあります。
 このようなケースにおけるその空き家となった家屋の敷地について、小規模宅地等の特例を受ける為の要件が緩和されました。

改正前はどうだった?

 被相続人が老人ホーム等へ入所した為に空き家となった家屋の敷地について小規模宅地等の特例を受ける為には、次に掲げる状況が客観的に認められる必要がありました。

改正前の適用要件

 改正前の客観的に認められるべき状況は、次のとおりです。
  ①被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入所することとなったものと認められる
   こと。
  ②被相続人がいつでも生活できるようその建物の維持管理が行われていたこと。
  ③入所後、新たにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと。
  ④その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人又はその親族によって所有権が取得され、あるいは終身利用権が取
   得されたものでないこと。
  
  〔①について〕
    上記①について、特別養護老人ホームの入所者については、その施設の性格を踏まえれば、介護を受ける必要がある者に当
    たるものとして差し支えないものと考えられます。
     なお、その他の老人ホームの入所者については、入所時の状況に基づき判断します。
   
  〔②について〕
    上記(2)の「被相続人がいつでも生活できるよう建物の維持管理が行われている」とは、その建物に被相続人の起居に通常
    必要な動産等が保管されるとともに、その建物及び敷地が起居可能なように維持管理されていることをいいます。

改正後はどうなる?

 従来は、上記のとおり4つの状況が客観的に認められる必要がありましたが、この要件が緩和され次の状況が客観的に認められれば足りる事となりました(措令40条の2 ②③

  ①要介護認定等を受けていた被相続人が、養護老人ホーム等へ入所をしていたこと。
  ②被相続人等の事業の用又は被相続人等以外の者の居住の用に供した事実が無いこと。

 つまり、改正前において要求されていた②と④が不要となった訳です。

 終身利用権がある老人ホームへ入所した場合には、従来であれば、改正前要件である④を満たせない事となり、小規模宅地等の特例を受けられないところでしたが、この改正により、たとえ終身利用権がある老人ホームへ入所しても改正後要件である①と②を満たしていれば、小規模宅地等の特例を受けられる事となった訳です。

元気なうちに入所しても可

 改正前の要件である①をみると「介護を受ける必要があるため」として老人ホーム等への入所理由を限定してありました。

 しかし、改正後においては、このような入所理由までは限定されておらず、単に「要介護認定等を受けていた被相続人が養護老人ホーム等へ入所をしていたこと」としか規定されておりません。

 よって、元気なうちに養護老人ホーム等へ入所した場合であっても相続開始直前において要介護認定等を受けていれば、改正後の適用要件を満たす事となり、小規模宅地特例を受ける事が可能となります。

 被相続人が、要介護認定等を受けていたかどうか?の判定時期は、老人ホーム等への入所時の現況で判定する訳ではなく、あくまでも相続開始直前の現況により判定する事としているからです。(措基通69の4-7の2

対象となる老人ホーム等

 被相続人が介護の必要の為に入所等したものとして対象となる施設は下記のとおりです(措令40条の2 ②
  ■認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居(老人福祉法5の2⑥)
  ■養護老人ホーム(老人福祉法20の4)
  ■特別養護老人ホーム(老人福祉法20の5)
  ■軽費老人ホーム(老人福祉法20の6)
  ■有料老人ホーム(老人福祉法29①)
  ■介護老人保健施設(介護保険法8 [27])
  ■サービス付き高齢者向け住宅(上記の有料老人ホームを除く,高齢者の居住の安定確保に関する法律5①)
  ■障害者支援施設・共同生活援助を行う住居(障害者総合支援法5⑪⑮等)

適用開始時期

 この改正は、平成26年1月1日以後の相続・遺贈から適用されます。

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