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税制改正ポイント

〔平成26年1月1日施行〕小規模宅地等_老人ホーム入所_死亡後に要介護認定等が下りた場合

老人ホーム等への入所による適用要件の緩和

 平成25年度の税制改正により、被相続人が老人ホーム等へ入所したことにより空き家となった家屋の敷地について小規模宅地等の特例を受ける為の要件が緩和されました。

緩和された適用要件

 
 平成26年1月1日以後の相続・遺贈からは、被相続人が老人ホーム等へ入所したことにより空き家となった家屋の敷地について小規模宅地等の特例を受ける為には、次の状況が客観的に認められれば足りることとなっています(措令40条の2 ②③

 〔求められる状況〕
   ①要介護認定等を受けていた被相続人が、介護の必要の為に老人ホーム等へ入所したものであること。
   ②貸付など他の者の居住の用に供した事実が無いこと。

要介護等の認定が必要

 上記の適用要件にあるとおり、被相続人が老人ホーム等へ入所中に死亡した場合において、その被相続人の居住用家屋の敷地について小規模宅地等の特例を受ける為には、その被相続人が要介護等の認定を受けている必要があります。

認定を受ける為には?

 要介護や要支援等の認定を受ける為には、市区町村の窓口に認定の申請を行う必要があります。
認定の申請を行うと職員による聞き取り調査、いわゆる『認定調査』が実施されます。
そして、認定調査の結果を審査し、その審査の結果により要介護や要支援等の認定が下りるという流れになっています。
 この認定申請から実際に認定が下りるまでに要する期間は、市区町村の窓口の状況にもよりますが、1ヶ月程度を要することもあると言われています。

判定の時期は?

 ところで、その被相続人が、要介護等の認定を受けていたかどうか?の判定は何時の時点で行うのかと言いますと、それは『相続開始の直前』において判定することとされています(措通69の4-7の2
 しかし、ここで1つ疑問が生じてきます。
 
 先述したとおり、要介護等の認定を受ける為には、その認定申請を行ってから実際に認定が下りるまでにある程度の時間を要します。
 そうしますと、認定申請を行ってから認定が下りるまでの間にその認定申請に係る被相続人が死亡してしまうケースも想定されます。

死亡後に認定が下りた場合は?

 要介護等の認定申請に係る被相続人が、その認定が下りる前に死亡した場合、確かに税法上の規定に基づけば、『相続開始の直前』において要介護等の認定を受けていない訳ですから、一見すると小規模宅地等の特例を受けられないように思えます。

本当に特例を受けられない?

 先述したとおり要介護等の認定を受ける為には、市区町村の窓口へ認定申請を行い、その後に実施される認定調査を受ける必要があります。

 ここで認定調査を受けた後、認定が下りる前にその認定申請に係る被相続人が死亡し、その死亡後に認定が下りた場合について考察してみましょう。

〔考察〕

 たとえ死亡後であっても認定が下りる、という事は、認定申請の後に生じた相続の開始直前においてもその認定申請に係る被相続人は、『要介護、又は、要支援の状態にあった』と考えられます。

 また、この要介護等の認定の効力は、その申請日に遡ります。
何故かというと、認定申請に係る者が、その申請を行ってから死亡する日までの間に利用した介護サービスについて保険の給付を受けられるようにする為です。

結論

 上記のとおり要介護等の認定の効力は、その申請日に遡ります。
よって、たとえその認定申請に係る被相続人が死亡した後に要介護等の認定がおりた場合であっても、事実上、その『相続開始の直前』において要介護等の認定を受けていたものと同じと言えます。

 以上の事から、認定申請に係る被相続人が死亡した後に要介護等の認定が下りた場合でも他の要件を満たしていれば、小規模宅地等の特例を受ける事が出来るのです。

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