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税制改正ポイント

〔平成26年4月1日施行〕未支給年金_請求権者の範囲を拡大

改正の概要

 年金受給者が死亡した事により受給出来なかった年金、いわゆる“未支給年金”を請求する事が出来る遺族の範囲が拡大されました。

未支給年金を請求出来る者の範囲拡大

 従来、未支給年金を請求出来る者は、次の者に限定されていました。
 〔改正前〕
     ■配偶者
     ■子
     ■父母
     ■孫
     ■祖父母
     ■兄弟姉妹
 
 今回の改正により、上記の者に加え、『生計を同じくしていた三親等内の親族』が追加されました。

生計を同じくするとは?

 『生計を同じくする』とは、分かり易くいうと『同じ財布で生活をする』という事です。
例えば、親元を離れて、親からの仕送りで生活している学生は、その典型と言えます。
親元を離れているので、起居は別々ですが、その学生の生活費の源は、親からの仕送りです。
 つまり、親の財布で生活を送っている訳です。
このような状況にある者を『生計を同じくする者』といいます。

 反対に起居は同じ家、つまり同じ屋根の下で生活していてもお互いに独立した収入があり、それぞれ別個の収入で生活を送っている場合には、『生計を同じくする』とはいいません。
 例えば、両親と子供夫婦が二世帯住宅で暮らしているが、それぞれ独立した収入があり、それぞれが別個の収入を基に生活しているようなケースは、『生計を同じくする』とはいえないのです。

三親等内の親族とは?

 親族には、『血族』と『姻族』の2つがあります。

血族

 血族には、『自然血族』と『法定血族』の2つがあります。
  ■自然血族
   これは、親子や兄弟姉妹のように出生による“血の繋がり”がある者をいいます。
   まさに“血の繋がりがある者”というものです。

  ■法定血族
   これは、血族のような出生による血の繋がりは無いのですが、法律上血縁があると同視される者をいいます。
   具体的には、養子縁組における養親と養子との関係がこれに該当します。

姻族

  姻族とは、婚姻によって生じる親族関係を指します。
 具体的には、夫側からみた妻の両親や妻の兄弟姉妹等です。

上記のとおり、血族と姻族を合わせた上で“三親等”となっているので、その範囲はかなりの広範囲
に及びます。

この三親等内の親族が、未支給年金の請求権者に加えられるので、最終的な請求権者の範囲は、大き
く拡大されました。

具体的な請求権者の範囲は、こちら をご参照ください。

改正による影響

 未支給年金の請求権者の範囲が大幅に拡大された事により、実情に沿った請求取扱いが可能となりました。

 例えば、『甥っ子や姪っ子が年金受給者の介護をしていた』とか、『配偶者を既に亡くしている年金受給者と同居していた息子が先に死亡し、その後は、その息子の妻が年金受給者の介護をしていた』といったケースだと、従来は、これらの甥っ子や姪っ子、息子の妻は、未支給年金の請求を行う事が出来ませんでした。

 しかし、この改正により、今後は請求が出来るようになりました。
このように“高齢化介護社会”の実情に合わせた請求が可能になり、より柔軟性が高まったと言えるでしょう。

未支給年金の所得区分

 未支給年金の請求権者の範囲が拡大され、より広い範囲の親族が未支給年金を請求し受取る事が可能になった訳ですが、では、その受け取った年金には、どのような課税関係が生じるのでしょうか?

未支給年金は相続財産?

 先述したとおり、未支給年金とは、『年金受給者が死亡した為に受給出来なかった年金』です。
別な見方をすれば、『年金を受給出来る権利を残したまま死亡した』とも言えます。

よって、一見すると、『未支給年金は、被相続人である年金受給者の相続財産である』と思われがちです。

未支給年金は一時所得

 しかし、未支給年金は、被相続人である年金受給者の相続財産にはなりません。
では、何になるか?と言いますと、実際に支給を受けた親族の一時所得に該当するのです。

これは、過去の最高裁判決を踏まえ、このような取扱いになっておりますので、注意が必要です。

適用開始時期

 この未支給年金請求権者の範囲拡大の改正は、平成26年4月1日以後に年金受給者が死亡した場合から適用されます。

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