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週刊税務調査日記

国際取引の調査(3)

第449号 2019/5/31

税務署は、著作権の外国企業からの購入に対して、源泉徴収義務があるとの見解で、今回の調査になったようです。

日本は諸外国と租税条約を締結していて、それをもとに課税が発生するかどうかが判断されます。

税務署は、今回の調査に関しては自信満々で、初めから鼻息が荒いようでした。

そこで、何としても契約書のコピーを手に入れて、課税に結び付けたいとの意欲が伺われました。

しかし、著作権を売却した外国企業も、「今まで源泉徴収が必要などということは一度も指摘されたことがない」ということです。

租税条約上も課税されるには、いくつかの要件の具備が必要と記載されています。

そこで、提携している国際税務事務所とこの事案を一緒に検討することにしました。

その結果、「課税される要件を備えていない」という結論になり、その旨調査官に文書で回答しました。

その後、調査官から「会って話をしたい」との連絡がありました。

●税務署

「調査の着手から5カ月が過ぎましたが、その間ご協力ありがとうございました。」

「今回の調査ですが、これで終了にしたいと思います」

■会計事務所

「終了ですか?」

●税務署

「はい、これで調査は終了します」

「今回の案件に関しましては、課税要件の充足にかかる事実認定に当たって、当局と納税者との間に見解の相違があり、取引先の外国企業の実情把握も国外ということで難しさがあることから、今回の調査はこれで終了といたします」

■会計事務所

「なるほど、そうですか、わかりました・・・」

ということで、今回の調査は何事もなく無事終了です。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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