令和7年10月1日から、ポータルサイト(ふるなび、さとふる、楽天など)を通じた寄附に対して、ポイント等を付与することが禁止されます。
総務省は制度変更の理由として、ポータルサイトによるポイント付与に係る競争が過熱し、本来 の制度趣旨がずれつつあることを挙げています。
平成20年から始まったふるさと納税ですが、年々拡大の一途を辿り、令和 6 年度の利用者数は約1,079万人、寄附金額は約1兆2,728億円になっています。
「納税」という言葉がついていますが、実際には、都道府県・市区町村への「寄附」です。一般的に自治体に寄附をした場合、確定申告をすることで、寄附額の一部が所得税と住民税から控除されます。
一方、ふるさと納税は原則として自己負担額の2千円を除いた全額が控除対象となります。所得税は寄附した年分の確定申告で還付されますが、住民税は翌年度(6月以降)の住民税から控除されるため、実際にどれだけ税負担が軽くなったかはすぐには実感しにくい点があります。
ふるさと納税における所得税と住民税の控除 額の計算は大きく分けて次の3種類があります。
(1) 所得税からの控除(所得控除)
所得税の控除額は、次の計算式で求めます。
(寄附金額-2,000円)×所得税率※
※5%~45%の累進税率
(2) 住民税の基本控除(税額控除)
住民税の基本控除額は、次の計算式で求めます。
(寄附金額-2,000円)×10%
(3) 住民税の特例控除(税額控除)
住民税の特例控除額は、次の計算式で求めます。
(寄附金額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税率)
給与収入700 万(独身)の人を例にすると、全額控除されるふるさと納税額(上限)の目安は 108,000 円となり、前述の控除額の計算に当てはめると次のとおりです。
(1) 所得税からの控除
(108,000 円-2,000 円)×20%=21,200 円
(2) 住民税の基本控除
(108,000 円-2,000 円)×10%=10,600 円
(3) 住民税の特例控除※
(108,000 円-2,000 円)×(100%-10%-20%)
=74,200 円
※住民税所得割の2割が限度
(4) (1)+(2)+(3)=106,000 円
ふるさと納税の返礼品は寄附金額の3割以下となっていますが、受け取った返礼品は個人の収入になるのでしょうか?
原則として、返礼品を受けたことによる経済的 利益は、法人からの贈与により取得するものと考えられるため、個人の「一時所得」に該当します。
ただし、一時所得には50万円の特別控除額が あるため、通常は一時所得がプラスになることは ありません。返礼品還元率 30%で計算すると、寄附総額が167万円以上で一時所得が生じますので、高額の寄附をする場合には留意が必要です。
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