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上昇する路線価

第374号 2025年7月

1.はじめに

7月1日付、国税庁から令和7年分の路線価が公表されました。東京都の標準宅地の平均上昇率は全国最高の8.1%で、全国平均(2.7%)の3倍となっています。

今年の全国の最高路線価は昭和61年分以降40年連続となる銀座の鳩居堂前で、1㎡当たり4,808万円と、過去最高を記録したとのことです。

2.土地価格の主な指標

土地の価格については、「一物四価」「一物五価」とも言われ、1つの土地について4つないし5つの異なる価格が存在することを意味します。

⑴ 実勢価格(時価)
実際に土地が売買されるときの価格であり、売手と買手との間で合意された価格をいいます。

⑵ 公示価格
 それぞれの特殊な事情などが取り除かれた、自由な取引において通常成立すると考えられる価格をいいます。
国土交通省が毎年1月1日時点の標準地における1㎡当たりの価格を3月に公表します。
また、公示価格を補完する役割を果たす「基準地価」というものもあり、都道府県が毎年7月1日時点の基準地における価格を9月に公表します。

⑶ 相続税評価額(路線価)
相続税や贈与税を計算するときに使用する価格をいいます。
国税庁が毎年1月1日時点の主要な道路に面した1㎡当たりの価格(公示価格の80%程度を目安)を7月に公表します。

⑷ 固定資産税評価額
固定資産税や不動産取得税、登録免許税等を計算するときに使用する価格をいいます。
市町村(東京23区内は東京都が課税)が3年ごとに価格(公示価格の70%程度を目安)を計算します。

3.財産の評価

相続や贈与により取得した財産については、原則として、取得時における「時価」により評価すると相続税法に定められています。

では、この「時価」とは何でしょうか?

財産評価基本通達には、「時価とは、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額はこの通達の定めによって評価した価額による。」とされており、土地については、路線価があるものは路線価により評価します。

つまり、相続税等の申告に当たり、「時価」を把握することは必ずしも容易ではないという理由から、相続税等の申告の便宜及び課税の公平を図る観点から、路線価を使用して計算することとされています。

4.相続税評価額の計算

相続税評価額がどのぐらいになるのか、ざっくりと知りたい場合には、国税庁ホームページに公表されている路線価図で該当する地域を検索します。該当する土地が面する道路に「300」と書いてあれば、千円単位の表示であるため、その土地は1㎡当たり300,000円で評価します。土地の面積が200㎡の場合、評価額は6,000万円という ことになります。

ただし、実際には土地の形状、奥行き、利用実態等に応じて様々な調整計算を行うため、専門的な知識が必要です。正確な評価をご希望の場合には税務担当へお問い合わせください。

アトラス総合事務所 税理士 黒川 洋介
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