調査官は次に外注費で処理している作業員を問題にしてきました。
納税者の会社は消費税の納税義務者で、売上等で受取った消費税から、事務所家賃の支払などで支払った消費税を控除した差額を税務署に納税する原則法を採用しています。
この方法ですと会社専属の作業員などの扱いで消費税法上よく問題となります。
具体的に見ていきましょう。
作業員に月額300,000円支払ったとします。
この支払が請負契約である外注費とすると支払った消費税の計算は以下のようになります(30万円の内に含まれている消費税を計算します)。
300,000円×5÷105=14,285円
一方、この支払が雇用契約に基づく給与であるとすると、支払った消費税はゼロとなります(給与には消費税が課税されません)。
受取った消費税が20,000円とすると、消費税の納税額は請負契約の場合は、
20,000円-14,285円=5,715円
となり、雇用契約で給与の場合は
20,000円-0円=20,000円
となります。
このように、会社専属の作業者を請負契約関係にあるか、雇用契約関係にあるかによって消費税の納税額は違ってきます。
納税者の現在における作業者の扱いは、請負契約関係にあるとして外注費として処理しています。
つまり、消費税納税額が少なくなる処理をしているのです。
これに対して調査官は実質は請負契約関係にあるのではなくて雇用契約関係にあるのではないかと言うわけです。
いずれかの関係にあるのかは、非常に微妙で、その実態で判断することになります。
調査官は何としても税金を取りたいわけですから、
「実態は雇用契約関係ではないのか?」、
「そうであれば消費税を払ったことにはならず、納税額は増えるはずだ」
と言うわけです。
案の定、今回の調査官もそれを言い出しました。
To be continued
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