調査官は上司の悪口をあからさまに言い始めました。
■会計事務所
「統括官はそんなに厭な人ですか?」
●税務署
「いや~もう 古い時代の人だから大変ですよ」
■会計事務所
「例えば、どういうことですか?」
●税務署
「やれ朝は始業時間ぎりぎりでなくて、もっと早く来いとか言われますね」
「何で始業時間前に来ているのに、そんなことを言われるのか分かりません」
「始業時間前までは、私のプライベートな時間ですからね」
「もう統括の言っている事が滅茶苦茶なんですよ!」
▲納税者
「は~ それは大変ですね」
●税務署
「ねっ、おかしいと思うでしょ?」
■会計事務所
別におかしいとは思いませんが、仕方なく相槌を打ちます。
「そうですね」
●税務署
「ですよね」
「先生方にはイータックスの推進をお願いしていますが、署ではイータックスで送られてきたデータをすべて紙で出力して保存しているんですよ」
「せっかくデジタルデータで送ってきたものを紙で保存ですよ」
「何も前と変わってないんですから」
「信じられますか?」
▲納税者
「信じられません」
●税務署
「まったく税務署もお粗末なものですよ」
■会計事務所
今度は、上司の批判から税務署への批判となりました。
時間は刻々と進み、もう昼前です。
この調査官は乗せればいくらでもしゃべります。
会社も忙しい中で対応しているわけですから、もう少しその点を考えて調査をしてもらいたいものです。
上司の悪口や組織の批判は、どこの会社でもありますが、聞いていて楽しいものではありません。
「もういい加減にしてください!」の意味をこめて、チクリと言いましょう。
「そんなに厭な上司やダメな会社なら、サッサと辞めたらどうなのですか?」
●税務署
「辞める?」
「やはり生活がありますから・・・辞めるわけには行きませんよ・・・」
▲納税者
「だったら文句など言わずに一生懸命に働くしかないでしょう」
「皆、厭なことを歯を食いしばって我慢して働いているんではないですか?」
「天国みたいな職場なんてありませんよ」
「不平不満を口にしながら良い仕事なんてできません」
「第一、不平不満なんか聞きたくない周りの人が迷惑します」
「ましてや私なんか、そんなことを聞くためにこうやって時間を空けているわけではありませんから」
■会計事務所
調査官は納税者の社長から厳しいお叱りを受けてしまいました。
昼食をはさんで、午後から帳簿調査が始まりましたが、会社の経理はしっかりしていますので何も指摘されることはありませんでした。
翌日の午前中で調査は終了、申告是認通知(調査の結果、何も指摘することがなかったという税務署からの通知書)が後日納税者に送られてきました。
文句を言わないで一生懸命に働くしかないですね!
おわり
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