☆【生徒】
今回の税制改正で、消費税関連の改正はあったのですか?
★【先生】
ありました。
☆【生徒】
どのような改正ですか?
★【先生】
アパートやマンションを建築するに当たって、自動販売機を意図的に設置す
るなどして、建物の建築にかかる消費税を還付するということが行われていま
した。
☆【生徒】
法律の隙を突いた手続ですね。
具体的にどのような手法でしたっけ?
★【先生】
まず、消費税の免税事業者であっても、あえて消費税の課税事業者となる
届出を税務署にします。
建物が完成する課税期間に自動販売機等を設置して消費税の課税売上割
合を95%以上にして、申告をすることで消費税を還付してもらいます。
☆【生徒】
新たに賃貸経営を始める個人や資本金1,000万円未満の新設法人は、1年
目(1期目)と2年目(2期目)が消費税の免税事業者になるから、課税事業者
の選択の届出をして消費税の課税事業者になるのでしたね?
★【先生】
そうです。
あえて課税事業者になって、自動販売機を設置することにより消費税を還付
してもらいますが、翌年からは消費税の非課税売上であるアパートの家賃収
入が計上され、消費税の課税売上割合は急低下します。
☆【生徒】
課税売上割合は、消費税がかかる売上(自動販売機収入)と消費税がかから
ない売上(居住用の家賃収入)の合計に占める消費税のかかる売上の割合で
すから、家賃収入が計上されてくれば課税売上割合は確かに激減しますね。
★【先生】
消費税法では、消費税の還付を受けた課税期間以後3年間の課税売上割合
が著しく変動した場合には、還付された消費税を税務署に返還する規定があ
るのです。
☆【生徒】
自動販売機の設置して消費税を意図的に還付することを防ぐ消費税の規定
はいままでもあったわけですね?
★【先生】
そうです。
しかしこの規定は、還付を受けた課税期間を1期目とするとその3期目が消費
税の課税事業者であること、そして3期目に簡易課税制度の適用を受けてい
ないことが要件となっているのです。
そこで、この要件に該当しないように、2期目に課税事業者の選択を不適用とす
る届出を出して、3期目を免税事業者にしたり、2期目に簡易課税制度を選択す
る届出をして3期目に簡易課税制度の適用を受けたりして、消費税還付額の税
務署への返還を免れていたのです。
☆【生徒】
なるほど。
今回の税制改正では、このようなことが規制されたわけですね?
★【先生】
免税事業者が1期目に課税事業者を選択してアパートなどの建物を取得した場
合、3期目まで免税事業者になることができない措置や3期目までに簡易課税制
度の適用を受けられないとする措置を講じたのです。
☆【生徒】
なるほど。
よく分かりました。
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