週刊なるほど!消費税

相続と消費税
特定遺贈

第352号 2012/7/18

☆【生徒】

将来の相続に備えて遺言書を書こうと思っています。

私は個人事業をしていますが、遺言書の書き方で消費税が安くなること

はありますか?

★【先生】

遺言により遺産の承継先を決める方法には、大きく2つの決め方がありま

す。

包括遺贈と特定遺贈の2つです。

☆【生徒】

遺言書で遺産の承継先を決めることを遺贈というのですね?

★【先生】

そうです。

☆【生徒】

ではまず、包括遺贈について教えてください。

★【先生】

包括遺贈とは、「Aさんに遺産の3分の1を遺贈する」というように遺産の

全部又は一定割合を遺贈することを言います。

☆【生徒】

なるほど。

特定遺贈は、そうではなくて「土地建物と有価証券はAに遺贈する」と

いうように特定の遺産を個別に示して遺贈する場合ですね?

★【先生】

そのとおりです。

あなたは個人事業をしていて消費税の課税事業者でしょうから、その

事業を子供に承継させる場合、遺言書を書かない相続の場合と遺言

書による包括遺贈の場合には、事業を引き継いだ子は相続があった

日の翌日から課税事業者になると思われます。

☆【生徒】

子供がサラリーマンでも、私の生前の個人事業の課税売上が常に

1,000万円を超えているから、子も相続と同時に課税事業者になると

いうことですね?

★【先生】

そうです。

一方で、遺言書で相続人であるあなたの子A(サラリーマン)に「私の

事業用財産は子Aに遺贈する」と書けば、子Aは相続で事業用財産

を取得したことにはなりませんので、個人事業を引き継いでも課税事

業者にすぐになるということはないようです。

☆【生徒】

相続人である子に遺言書で承継する遺産の指定をすれば、消費税

が安くなる可能性があるのですね?

★【先生】

そうなんです。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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