【生徒♂】
「さあ先生!課税事業者になる事を選択した課税期間において調整対象固定資産を取得すると、どうしてその後一定期間免税事業者に戻せなくなったり、簡易課税を選択出来なくなるのか?その理由を教えてちょびひげ。」
【生徒♀】
「私・・・二週連続で腰から力が抜けましたわ・・・」
【先 生】
「先ず、調整対象固定資産を取得する事によって規制対象となる為には、その調整対象固定資産を取得した課税期間について、『本則課税(一般課税)』で申告し、消費税の還付を受けているという事が条件になっているの。」
【生徒♀】
「本則課税?」
【先 生】
「ええ。詳細はまた日を改めて説明するけれど、消費税の申告方式には、本則課税と簡易課税という2つの方法があるのよ。」
【生徒♂】
「その2つは、どういう違いがあるの?」
【先 生】
「最も大きな違いは、『課税仕入に伴って支払った消費税を考慮するか否か?』という部分ね。」
【生徒♀】
「と言いますと?」
【先 生】
「本則課税で申告すると、納税義務者が課税売上によって預かっている消費税額から、課税仕入によって支払っている消費税を控除して税務署へ納付する税額を計算するの。その際に調整対象固定資産を取得する事によって多額の消費税を支払っていれば、還付になってお金が戻って来るわ。」
【生徒♂】
「簡易課税の場合は、どうなるの?」
【先 生】
「簡易課税方式というのは、課税仕入によって支払っている消費税額を一切考慮せずに課税売上によって預かっている消費税額から一定の方法により税務署へ納付する税額を計算する方法なの。つまり、調整対象固定資産を取得する事によって、どんなに多額の消費税を支払っていたとしても簡易課税を選択していると、その支払った消費税額は一切考慮されないって訳。」
【生徒♀】
「つまり、簡易課税方式を選択していると、調整対象固定資産の取得に伴って支払っていた消費税が還付される事は無いって訳ね?」
【先 生】
「そのとおりよ。だから本来なら免税事業者になれる筈の事業者が、わざわざ課税事業者になる事を選択したのに簡易課税で申告するというのは、全く意味が無い事になるわ。課税事業者を選択するからには、本則課税で申告し、調整対象固定資産の取得に伴って支払った消費税額の還付を受ける為なのよ。」
【生徒♂】
「でもさ、調整対象固定資産を取得する事によって、実際に多額の消費税を支払っている訳だから、その還付を受けても別に悪い事ではないんじゃないのかな?」
【先 生】
「確かに法律が定めた計算方法に従って申告している以上、一概に『悪い事』とは言えないわね。でも問題なのは、実は還付を受ける事業年度そのものではなく翌期以降なのよ。」
【生徒♀】
「まあ!どうして翌期以降が問題になりますの?」
【先 生】
「では、次回はどうして還付を受ける事業年度よりも翌期以降が問題になるのか?についてお話しするわね。ではまた次回!ばいばい!」
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