週刊税務調査日記

担当者が怒った調査(1)

第145号 2005/1/31

事務所も職員が増え、税務調査の立会いも職員にやらせることが多くなりました。

税務調査の立会いは会計事務所員にとっては勉強になるのです。

税務署がどのような事を考えているのか?税務実務で押さえるべきポイントはどこか?などが分かり、日々の税務実務を行うにあたって非常に有益な経験になります。

ですから、所長が立ち会うより、職員に立会いをさせることが多くなったわけです。

今回は、税務調査の立会いが初めての女性職員です。

調査の初日に2人で納税者の会社に向かいます。

■会計事務所

「おはようございます」

「事務所の三原と申します」と職員を紹介します。

▲納税者

「税務署に指摘されるようなことはないと思いますが、よろしくお願いします」

■会計事務所

「私は、はじめだけ彼女と一緒に立ち会って、後は彼女に立会いは任せますから」

▲納税者

「分かりました」

と言っているところに、調査官の登場です。

●税務署

「○○と申します。よろしくお願いします。」

見たところ、50歳チョッとでしょうか。

はじめはいつものとおり世間話です。そして会社の概要の聞き取りです。

そこで、所長は三原に後を任せて会社を後にしました。

こうして所長がいなくなった途端に異変が起きました。

どんな異変かというと、調査官に異変が起きたのです。

所長がいたときは、背筋をまっすぐ伸ばして椅子に座っていましたが、所長がいなくなった途端に、足を組んで肘を椅子の肘掛に偉そうに置き、背中をドカッと背もたれに押し付けて、重役座りになってしまいました。

また、今まで丁寧な言葉でしゃべっていたのが、所長がいなくなったら、口調も変わってきたのです。

調査の立会いをするのが、若い女性職員だけになったことから、このような態度の変化があったのでしょうか?

人を見て態度を変えるなんて、いけないことです。

●税務署

「社長は、あれ、どこの出身?」

社長とタメ言葉でしゃべっています。びっくりです。

▲納税者

「広島です」

今回の納税者は税務調査を受けるのは、これが初めてです。

ですから、調査官からこのような言い方をされても、おかしいとは感じないのでしょう。

●税務署

「へ~ 広島なんだ」

「じゃ、カープファンかな?」

▲納税者

「ええ」

●税務署

「実は私もカープファン」

と言った具合のしゃべり方です。

調査官は、雑談の中から会計事務所員も税務調査の立ち会いはじめて、納税者も税務調査はじめて、ということを感じ取ったのでしょう。

それで、こういう言葉使いや、態度をとっているのでしょうか。

To be continued 

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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