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小切手の基礎知識

第055_2号 1998年10月

1.小切手とは?

   

小切手は、現金に代わる支払手段の働きを持つものです。小切手を受け取った人はそれを銀行に持っていけば現金を手に入れることができます。

小切手を振り出すためには、銀行に当座預金の口座を持ち、その預金を手形や小切手で支払うという当座勘定取引契約をします。それで、銀行から小切手帳が交付されるのです。

2.小切手の要件

小切手は法律で決められた事項が記載されていないと、無効となります。共通事項はあらかじめ印刷されていますが、振出人が記載しなければならない事項は次のものです。

  1. 支払う金額
  2. 振出日
  3. 振出人の署名または記名・捺印

振出日については、暦にない日を振出日にすると無効になります。

3.小切手の呈示

小切手は原則として振出日から10日以内に銀行に呈示しなければなりません。実務上は、銀行は呈示期間を過ぎても、振出人の了承を得て支払っているようです。

ただし、万一小切手が不渡りになった場合、振出人に対する償還請求権を確保するためには適法に支払呈示することが条件となります。

4.線引小切手

線引小切手とは、小切手の表面に2本の平行線が引かれた小切手です。

横線小切手ともいいます。これは小切手を落としたり、盗まれたりした場合に不正に支払われるのを防止するためのものです。線引の方法はペン書きでもゴム印でもよく、線引きする場所も小切手の表面であれば任意です.振出人だけでなく、受取人も危険防止のため自分で線引ができます。

線引には、一般線引特定線引があります。

一般線引は、2本の平行線を書いて、その平行線の間に何も記載しないか、「銀行渡り」とだけ書かれたものです。

特定線引は、平行線の間に特定の銀行名を記載したものです。

いずれも、銀行と取引関係のある身元の明確な人でなければ小切手の支払を受けることができないことになります。

線引小切手は、緊急に現金に換えたいという受取人にはかえって不便なこともありますので、振出人が線引小切手の裏面に銀行取引印を押す「裏判」をすると誰でも銀行に持参してすぐ支払を受けられるようになります。

5.小切手の譲渡

自分が他から受け取った小切手を自分の支払のためにその小切手を支払先に渡すことができます。現金を渡すのと同じです。

小切手を譲渡する場合、裏書する必要はありませんが、譲渡人が裏書していれば、万一小切手が不渡りになった場合に、裏書人としての責任を追求されます。

6.先日付小切手

先日付小切手は、振出日を実際の振出日よりも後の日付で記載した小切手です。

銀行への支払呈示をその日付まで待ってもらうことを受取人に頼んで、その日付までに支払資金を準備しようとするものです。

ただし、その日付前でも銀行に呈示されれば銀行は支払いに応じなければなりませんので、資金が不足すれば不渡りとなります。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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