所長のミニコラム ~ Monthly column ~

01月のミニコラム

ビオンテック社

現在私たちが接種しているファイザー製のワクチンを開発した会社がドイツのビオンテック社です。もともとこの会社はmRNA(メッセンジャーRNA)を使ってガンの免疫療法を開発している会社でした。創業者であるエズレムとウールの夫婦は、中国で発生した新型コロナウイルスの報告を聞いて、「これは間違いなく世界中でパンデミック(爆発的な感染)を起こす」と確信し、ワクチンの開発に没入します。

もともとワクチンは、病原性を弱めたり病原性を無くしたウイルスを使って作りますが、私たちが接種しているコロナワクチンはこれらとは全く異なるmRNAという分子を利用して作ったワクチンです。いままで、ワクチンの完成まで最低でも4年かかっていたものが、このmRNAを利用したことによりわずか11カ月で開発することができたのです。

最終段階での治験は、本物のmRNAワクチンと人体に無害の偽薬を被験者に投与してその後の感染者の割合を見ます。その結果、コロナに感染した被験者170人のうち、mRNAワクチンを2回投与された被験者はわずか8人だけで、mRNAワクチンの有効性は95%以上あるとしてファイザーから世界に送られたのです。

以上は、「mRNAワクチンの衝撃」という本を読んでのものですが、開発までの11カ月におけるビオンテック社の資金調達や行政当局及びアメリカの巨大企業であるファイザーとの交渉などがスリリングに書いてありました。ドイツの小さな創薬ベンチャーが世界の命を守ったのですから「ブラボー」ですね。

2023.01.01 公認会計士・税理士・行政書士 井上 修