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修繕費

第102_2号 2002年10月

事業上の修繕費が損金になるか否かについて、税務上いろいろな判断基準が設けられています。  

1.少額または短い周期の費用

次の①または②のいずれかに該当すれば、修繕費か資本的支出か判断するまでもなく、全額損金になります。

資本的支出とは、修繕費が単に修繕をした本体の減価償却資産の原状を維持するものであるのに対して、その本体の減価償却資産の価値を高めたり耐用年数を伸ばしたりするものです。

したがって資本的支出に該当すれば一時の損金とはしないで、本体の資産同様に減価償却することになります。

①一つの修理等の金額が20万円未満
少額減価償却資産の10万円未満とは異なりますので注意してください。
また、一時損金できる少額繰延資産は20万円未満となっています。
②その修理等がおおむね3年以内の周期で行われるもの

2.形式基準による判定

次の①または②のいずれかに該当すれば、修繕費か資本的支出か明らかでない場合に、修繕費として損金にできます。

明らかに資本的支出とは増築・拡張工事など物理的に付加するような場合や、用途変更のための模様替えなどの工事費用です。

このような資本的支出として明らかなもの以外の、修繕費か資本的支出か明確に判断できないものについて、この形式基準によって判断します。

①その金額が60万円未満
②その金額がその修理等をした本体の減価償却資産の前期末の取得価額の10%以下
前期末の取得価額の10%以下であれば、60万円以上でも修繕費として損金にできます。

3.修繕費の区分の特例

一つの修理等の金額が修繕費か資本的支出か明らかでない場合には、継続適用を要件として、次の経理処理が認められます。

① 次のいずれか少ない金額を修繕費とする
  • イ)支出金額×30%
  • ロ)前期末の取得価額の10%
② 支出金額から①の修繕費とした金額を控除した残額を資本的支出とする

なお、災害等の被害を受けたことによる修繕の場合には、修繕費か資本的支出か明らかでない部分の区分については支出金額×30%を修繕費とし、残額を資本的支出とします。前期末の取得価額の10%との比較はしません。

4.明らかに修繕費となる場合

上記のように修繕費か資本的支出か明らかでないというのでなく、つぎのように明らかに修繕費というのであればそれがたとえ数百万円になろうと修繕費として損金にできます。

  • 原状維持のための家屋や壁の塗り替え
  • 家屋等の損傷した床、畳、瓦、ガラス、ふすまなどの取替え
  • 自動車等のタイヤ、ベルト等の取替え など。
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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