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フレックスを導入する時に

第128_2号 2004年12月

1.はじめに

裁量労働制や変形労働時間制など労働時間に関する多様な制度があることをご存知でしょうか。労働者は業種によって働き方が様々で、時間の使い方も様々です。それぞれの業種に合った制度を導入し、時間を効率よく使いましょう。今回は、よく耳にするフレックスタイム制について案内します。

2.フレックスタイム制を導入するための条件は

フレックスタイム制を導入するためには次のようにいくつかの条件があります。

  1. 就業規則その他これに準ずるものにより始業終業の時刻を労働者に委ねることを定めること。
  2. 精算期間を平均し、1週間の労働時間が法定労働時間(40時間)を超えないこと
  3. 使用者と労働者が協定で次の事項を取り決めること
    • フレックスタイム制で労働させる労働者の範囲
    • 清算期間(1ヶ月以内の期間)
    • 清算期間における総労働時間
    • 1日の標準労働時間
    • コアタイム(労働者が必ず働く時間帯)を設定した場合はその開始、終了の時刻
    • フレキシブルタイム(労働者が選択により働く時間帯)を設定した場合はその開始、終了の時刻

3.清算期間と割増賃金

清算期間とは1週間を平均して40時間を超えない範囲で労働させる期間で、1ヶ月を超えない期間をいいます。

フレックスタイム制ではこの清算期間を基準に時間外労働を判断することになります。従って、1日8時間・1週40時間を超える労働でも清算期間における総労働時間(清算時間)を超えない限り時間外労働に関わる割増賃金の支払は必要ないことになります。ただし、休日労働、深夜労働については発生したら割増賃金の支払が必要となります。

時間外労働、休日労働の発生が見込まれる場合は、時間外休日労働に関する協定の届出が義務付けられています。

5.コアタイムとフレキシブルタイム

フレックスタイム制では始業と終業を労働者に委ねることが条件ですので、どちらかのみを労働者に決定させることはできません。また、コアタイムが1日の標準労働時間と大差なく、フレキシブルタイムが極端に短い場合は、始業終業の時刻を労働者に委ねたと認められません。

コアタイムとフレキシブルタイムは必ずしも設定する必要はありませんが、頻繁にミーティングや会議などが必要になる場合はコアタイムを設定するといいでしょう。

6.遅刻と早退

コアタイムを設けた場合には、コアタイム開始時間に遅れたら遅刻、終了時間よりも早く退社したら早退となります。

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