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土地取得促進税制

第183_1号 2009年8月

1.はじめに

平成21年度の税制改正において、平成21年1月1日~平成22年12月31日までの間に取得した土地等(土地及び借地権)に対して優遇税制が施行されています。不動産は今が買い時と言われていますが、不動産投資を検討されている方にとっては注目すべき税制です。

2.長期所有土地等の1,000万円の特別控除

平成21年から22年の間に土地等を取得して、所有期間5年を超えてその土地等を譲渡した場合に、譲渡益から1,000万円を控除するという制度です。

つまり、今年と来年において土地等を取得した場合、その土地等を5年間所有した後に譲渡して譲渡益が出ても、1,000万円以内の譲渡益なら納税は発生せず、1,000万円を超える譲渡益が出ても、1,000万円を超えた額だけが課税の対象になるという制度です。

個人及び法人が適用でき、所有期間が5年超であれば、期間の制限もありません

3.先行取得土地等の特例

平成21年から22年の間に土地等を取得して、取得日を含む年度の終了日後10年以内に所有する他の土地等を譲渡した場合、譲渡益の80%(平成22年取得は60%)相当を圧縮記帳により課税を繰延べるという制度です。

1,000万円の特別控除は、取得した土地等を譲渡した場合の特例ですが、この制度は、取得した土地等以外の土地等を譲渡した場合の特例です。なお、個人の場合は、個人事業者に限定されています。

4.圧縮記帳で課税を繰延べる?

土地等を譲渡して譲渡益が出た場合、そ の譲渡益の80%を課税の対象から除外する と同時に、取得した土地等の取得価格をそ の分減額することを圧縮記帳といいます。

圧縮記帳により課税が繰延べられるとは、この取得価格が減額された土地等を将来譲渡すると、減額された分だけ譲渡益が余計に出ることにより税金が課税されることを意味します。

取得した土地等を将来売却しなければ、永遠に課税されませんので、次に説明するように、新たに取得する土地等がマイホーム用であれば、住み続けることにより課税されることはありません。

5.譲渡資産は事業用土地等

先行取得土地等の特例における譲渡資産は事業用の土地等に限られています。しかし、取得する土地等は事業用に限定されていません。したがって、マイホーム用の土地を買って、アパートなどの事業用の土地等を売却しても適用があります。

6.金額制限がない

先行取得土地等の特例には金額制限がありませんので、時価20億円で含み益が10億円ある事業用土地を所有している場合、含み益の80%相当額である8億円以上の土地を今年度購入しておき、来年度に時価20億円で所有していた事業用土地を譲渡すると、含み益の20%である2億円が課税の対象になるだけですので、事業におけるキャッシュフローの改善には効果的に利用できる制度となります。

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