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社会保険料にご注意

第268号 2016年09月

1.はじめに

厚生年金保険料率が平成28年9月分から変更になります。また、厚生年金保険の下限が平成28年10月分から変更になります。

給料が上がらないで、これらの社会保険料(厚生年金保険、健康保険)が上がり続けるのはいかがなものかと思いますが、給与計算時の留意点を含めて説明いたします。

2.社会保険料控除のタイミング

社会保険料を給与で控除するタイミングには、当月控除と翌月控除があります。当月控除は、9月分の社会保険料を9月支給の給与から控除するもので、翌月控除は、9月分の社会保険料を10月支給の給与から控除するものです。実務では翌月控除が原則となっています。

3.退職者の社会保険料

退職者が社会保険の対象から外れる日を資格喪失日と言います。社会保険料は、資格喪失日の属する月の前月まで徴収されます。

資格喪失日は退職した日の翌日となります。9月29日に退職した場合の資格喪失日は翌日の9月30日となり、社会保険料は前月の8月分まで徴収されます。一方、9月30日に退職すると資格喪失日は翌日の10月1日となり、社会保険料は9月分まで徴収されるのです。

4.厚生年金保険料の改定

平成28年9月分から厚生年金保険料率が17.828%から18.182%へ改訂されます。給与から控除される料率はこの半分となりますが、30万円の給与で26,742円から27,273円に保険料がアップします。

保険料を当月控除している場合は9月に支給する給与から、翌月控除している場合は10月に支給する給与から料率を変更する必要があります。

5.賞与の支給に注意

9月に賞与の支給をする場合には、改定後の厚生年金保険料率を適用することが必要です。社会保険料を翌月控除している場合、10月の給与で料率変更をすることになるのですが、賞与を9月に支給する場合には、その賞与に改定後の料率を適用して厚生年金保険料を控除する必要があります。

つまり、9月の給与には改定前の料率、9月の賞与には改定後の料率を適用することになるのです。

6.厚生年金保険の下限の変更

平成28年10月分から、厚生年金保険料の下限が8,909円から8,000円に下がりました。給与額が93,000円未満の場合がこれに該当します。

翌月控除の場合は、算定基礎届(年一回の社会保険料の見直し)による改定後の9月分の保険料を10月支給の給与で控除して、更に厚生年金保険料の下限の変更に該当する場合は、11月支給の給与で下限の変更による10月分の新保険料を控除することが必要ですので注意してください。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士・行政書士 井上 修
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