アトラスNEWS ~Monthly 税務・経営・節税情報~

iDeCo(イデコ)

第334号 2022年3月

1. はじめに

2022 年 5 月 1 日より、iDeCo の加入可能年齢が60 歳未満から 65 歳未満へ拡大されます。

2016 年時点で iDeCo 加入者は約 30 万人でしたが、同年の制度改正により加入対象者の範囲が拡大し、2022 年 1 月時点の加入者数は約 231 万人と大幅に増加しています(出所:iDeCo 公式サイト)。

2. iDeCo とは?

iDeCo は、年金制度の認知度向上を図る目的から、2016 年に「個人型確定拠出年金」の愛称として付けられたものです。

基礎年金(1 階部分)、厚生年金保険(2 階部分)などの公的年金に上乗せして給付を受ける私的年金(3 階部分)の 1 つとなります。

自分で決めた掛金額を積み立てながら、その掛金を自分で運用していくことで、将来に向けた資産形成を進める年金制度ですが、60 歳になるまでは、原則として受給できません。

3. 税制優遇措置

以下の 3 つが挙げられます。

  1. 掛金が全額所得控除
     掛金は全額「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、課税所得から控除され、所得税・住民税が軽減されます。
  2. 運用益は非課税で再投資
     金融商品の運用益は課税(源泉分離課税20.315%)対象となりますが、iDeCo の運用益は非課税で再投資されます。
  3. 受け取るときも大きな控除
     年金で受け取る場合には、「公的年金等控除」、一時金で受け取る場合には「退職所得控除」の対象となります。

4. 加入するには?

掛金を決め、金融機関を選び、運用商品を決める必要があります。掛金は月々5,000 円以上 1,000円単位で、加入資格に沿った上限内の範囲内で設定できます。

例えば、会社員(第 2 号被保険者)で勤務先に企業年金がない場合、月額上限は 2.3 万円(年額27.6 万円)となります。

金融機関によって、運用商品、サービス内容、手数料が異なり、また、運用商品は元本確保商品と投資信託に分かれますので、リスクとリターンを検討の上、選ぶ必要があります。

5. 確定拠出年金(DC)とは?

確定拠出年金は「個人型確定拠出年金」と「企業型確定拠出年金」の 2 つがあります。iDeCo は前者で、後者は「企業型 DC」と呼ばれます。

税制優遇措置のうち、前述の②③は同様で、掛金を企業(事業主)が負担するという違いがあります。

6. NISA との違いは?

今回は、iDeCo についてご紹介しましたが、資産運用の 1 つとしてよく耳にする「NISA(少額投資非課税制度)」というものがあります。

NISA は 2014 年にスタートした比較的新しい制度であり、現在は一般 NISA、つみたて NISA、ジュニア NISA の 3 つがあります。

今回は紙幅の関係上、少しだけのご紹介に留めますが、また、別の機会に詳しくお伝えします。

7. おわりに

「人生 100 年時代」と言われる昨今、老後のための資産形成を考えてみてはいかがでしょうか。

アトラス総合事務所 税理士 黒川 洋介
◆発行 アトラス総合事務所

 無断転用・転載を禁止します。