週刊節税教室

帝京大学系財団の申告漏れ

法人税
第40号 2002/7/1

☆質問

『新聞に出ていた帝京大学系財団の申告漏れの記事の意味が良く分かりません、教えてください』

★回答

財団法人(一定の目的のために提供された財産を運営する法人)が、受験生の父母から受け取った、多額の寄付金を帳簿外で運用して、大学や大学以外の財団法人等に流れたというのが大筋の内容です。

☆質問

『受験生の父母からの寄付金は非課税ではないのですか?』

★回答

非課税になるのは学校法人が本来の学校教育のために使う目的で受けた寄付金だけです。

☆質問

『財団法人はなぜ申告漏れとされたのですか?』

★回答

その財団法人も本来の目的は奨学金の給付などを行っている法人ですから、その目的に使う寄付金の受け取りであれば、やはり税金はかからないでしょう。

しかし、今回の寄付金の受け取りは、受験生を大学に取り次ぐ「あっせん業」による所得であるとされたようです。

もともと学校法人や財団法人はその本来の目的のための所得は非課税になりますが、それ以外の収益事業を行った場合には法人税が課税されます。

収益事業は法人税法で33事業が列挙され、そのひとつに「あっせん業」があります。

今回の申告漏れは、財団法人が受験生や寄付金を大学や他の財団に取り次ぐ「あっせん業」という収益事業をしていたと税務署が認定したものでしょう。

☆質問

『よく分かりました。では近所のお寺(宗教法人)も敷地の一部を駐車場にしているから、その分の所得は法人税を払っているわけですね。』

★回答

そのとおりです。駐車場の経営は「不動産貸付業」という収益事業に該当しますので、宗教法人としての申告義務が生じます。

しかし、学校法人、財団法人、宗教法人等の公益法人に適用される法人税率は、一般の会社に適用される法人税率より優遇されていますので、これを目的に公益法人にして、商売をするということも節税の1手法となるのです。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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