週刊節税教室

役員借入金の処理(2)

法人税
第122号 2004/2/23

☆質問

『自分の会社に貸し付けたお金、つまり貸付金を放棄しても放棄し

た個人には税金の問題は生じないが、放棄された会社は債務免除益

が発生し、債務免除益以上のその期の赤字や過去からの繰越欠損金

がないと税金が追加で発生することは良く分かりました』

『私の会社は今期も赤字で繰越欠損金もありますが、その額は数百

万円で私の会社への貸付金2千万円には遠く及びません』

『回収可能性の無い会社への貸付金をなくす方法は他にはありませ

んか?』

★回答

増資する方法があります 。

☆質問

『増資って、また私が会社にお金を出して資本金を増やすのですか

?』

★回答

いいえ、会社に貸し付けている貸付金をお金の代わりに出資して資

本金を増やすのです 。

☆質問

『そんなことができるのですか?』

★回答

はい、貸付金を元手にした現物出資です。

会社からすると役員からの借入金が資本金に振り替わり、役員個人

からすると貸付金が株式に振り替わる形です。

銀行が企業再生の一手法として貸付金を株式に振りかえるデット・

エクイティ・スワップと言われる手法です。

☆質問

『私のところみたいな中小零細企業でも、そのデット・・なんとかと

いう方法が使えるのですね?』

★回答

そのとおりです。

☆質問

『で、私の会社に対する貸付金が会社の株式に替わってどのような

効果があるのですか?』

★回答

相続時において貸付金のままですと貸付金額がそのまま相続財産と

なりますが、株式ですと会社の価値を反映した株価が相続財産とな

ります。

会社で高額な不動産を所有していたり、過去の利益の累積が多額に

ある会社ですと株価は高くなりますが、不動産もなく過去からの欠

損金が多額にある会社ですと株価は低くなります。

ですから、株価の低い会社ですと貸付金を原資とした現物出資は有

効であると言えます。

この話は更に続きます。

To be continued 

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

無断転用・転載を禁止します。

本メールマガジンに掲載されている著作物に対する以下の行為は、著作権法上禁止されており、著作権侵害になります。

  • ○著作物を、私的利用の範囲を超えて権利者の許可なく複製する行為
  • ○著作物を、インターネット上で公衆が取得可能な状態にする行為
  • ○著作物の全部もしくは一部を権利者の許可なく改変する行為