週刊節税教室

交際費と交通費

法人税
第134号 2004/5/17

☆質問

『先日、私の会社に税務調査が入りました。いろいろ調べられましたが、

ひとつ釈然としない点があるので教えてください。』

『調査官が、交際費の支払いがある日と同じ日に支払われたタクシー

代をピックアップして、これらのタクシー代はすべて交際費として処理

すると言われました』

『本当にタクシー代まで交際費になるのですか?』

★回答

なるほど。

確かに同じようなことが過去の税務調査でもありました。

税務調査で目ぼしい成果が上がらないと、こういった細かいところまで

指摘することがあります。

☆質問

『なんか、やることがせこいですよね?』

★回答

確かに。

税法での交際費の定義は、以下のとおりです。

「交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、

その得意先、仕入先その他事業に関係のあるもの等に対する接待、供

応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう」

そして、これらの行為のために付随して支出する費用も交際費とされて

いるのです。

ですから、得意先を接待して夜遅くなり、タクシーで自宅まで帰った時の

タクシー代は交際費とされるのです。

☆質問

『なるほどね。そう説明されると仕方ないと思いますね。』

★回答

でも、交際費を支出した日とタクシー代を支払った日が同じだったら、機

械的にそのタクシー代をすべて交際費とするのは乱暴なやり方ですね。

☆質問

『それはどうしてでうすか?』

★回答

先ほどの交際費の定義を見れば分かるとおり、交際費になるのは接待、

供応、慰安、贈答等を「した」場合です。

逆に接待等を「された」場合の費用は交際費には当たりません。

得意先の創立10周年記念パーティーに招待され、その会場までのタクシ

ー代は招待を「された」ことにより支払われる費用ですので交際費にはな

らないのです。

このとき儀礼的に寸志を差し出せば、その寸志は交際費として処理する

ことになりますが、だからと言って同じ日に支払ったタクシー代も交際費

になることはないのです。

旅費交通費でOKです。

接待などを「した」「された」というのは、非常に微妙なところですが、一律

にタクシー代を交際費とされないために、接待の状況を文書で残すとよい

でしょう。

後々のトラブル解消になるのと同時に、節税にもなるからです。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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