週刊節税教室

ゴルフ会員権の贈与で節税する

所得税・贈与税
第181号 2005/5/16

☆質問

『いや~ 持っているゴルフ会員権の値下がりがひどくてもう

やんなっちゃいます!』

★回答

どのくらい値下がりしたのですか?

☆質問

『1,200万円で買ったのが、今はたったの100万円です』

★回答

売却して売却損を出せば給与所得などと損益通算することによ

り税金が安くなりますよ。

☆質問

『私はもう仕事をやめて、今は国民年金をもらっているだけで

すから』

『損益通算する所得がないのです』

★回答

ん~ 所得がないと節税にはなりませんね。

☆質問

『息子は高額所得者で、「いつも税金でいっぱい持って行かれ

る」と言っていますが、このゴルフ会員権で息子の税金でも安

くなればいいのですが・・・』

★回答

いや、それができるんです。

☆質問

『えっ 私のゴルフ会員権で息子の税金が安くなるんですか?』

★回答

はい、あなたがそのゴルフ会員権を息子さんにまず贈与します。

☆質問

『息子にタダでこのゴルフ会員権をあげるということですね?』

★回答

そうです。

贈与時のゴルフ会員権の時価は100万円ですから、贈与税の基礎

控除である110万円を下回り、もらった息子さんに贈与税がかか

ることはありません。

☆質問

『なるほど』

★回答

ゴルフ会員権をもらった息子さんは、ゴルフ会員権の名義を書き

換えて、自分のものとします。

名義書換料は80万円とします。

そして、思う存分ゴルフをして1年で飽きてしまいました。

そこで、そのゴルフ会員権を市場で売却します。

売却額は100万円です。

この場合の、売却損益はどうなると思いますか?

☆質問

『私からタダでもらったゴルフ会員権を、もらった時の時価と同

額の100万円で売却したのですから、売却益も損もないということ

ではないのですか?』

★回答

違います。

親から贈与してもらった息子さんのゴルフ会員権の取得価額は、

親が購入した金額を引き継ぐのです。

つまり、1,200万円が取得価額になります。

すると、ゴルフ会員権の売却損益の計算は次のようになります。

100万円(売却価額)-1,200万円(取得価額)-80万円(名義書

換料)=▲1,180万円(売却損)

☆質問

『え~ 息子に1,180万円の売却損が発生するのですか?』

★回答

そうなんです。

息子さんは、この売却損を高額な給与所得から損益通算により引

くことができるのです。

☆質問

『そうすると、かなりの節税になりますね?』

★回答

そうですね。

ゴルフ会員権の贈与とともに親の含み損が、子に贈与されるとい

ったような感じです。

☆質問

『さっそく検討してみます』

★回答

この事例は、今年の2月1日に最高裁で判決があった事例です。

判決の内容は、贈与でもらったゴルフ会員権の名義書換料が取得費

に含まれるか否かと言うことが争点でした。

今までは、取得費に含まれないという扱いでしたが、この判決で取

得費に含まれるとする扱いになったのです。

なお、実際の税務調査を再現、解説した本を出版しましたので、ぜ

ひご購入ください。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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