週刊節税教室

減価償却費の計上

所得税・法人税
第185号 2005/6/13

☆質問

『減価償却費という言葉を聞きますが、よく意味が分かりませ

ん、どういうことですか?』

★回答

事業で使う物品で、金額が10万円以上のものを購入した場合は、

購入時に経費とするのではなく、固定資産として計上しなけれ

ばなりません。

なお、平成18年3月31日までは、30万円未満のものは全額経費と

して処理できるとする特例があります。

☆質問

『なぜ購入時の経費ではなく、固定資産として資産計上しなけ

ればならないのですか?』

★回答

購入した物品の、事業に対する効用が複数年にわたって続くと

考えられるからです。

☆質問

『なるほど。確かに自動車を買えば、何年も乗れますものね』

★回答

しかし、たとえ10万円以上の物でも、1年もその効用が続かな

いと判断されるものは購入時の経費になります。

たとえば、使用期間が1年に限定されている40万円のソフトウ

エアを購入しても、購入時に40万円を経費とすることができま

す。

☆質問

『なるほど、で減価償却は?』

★回答

減価償却は、数年間において事業に効用をもたらす固定資産の

金額を、その効用を受ける期間にわたって経費として計上する

ことです。

減価償却費という名称で経費とされます。

☆質問

『固定資産を購入してから、効用を受ける期間が5年だったら、

買った金額の5分の1を減価償却費として毎年経費として計上で

きると考えればよいのですか?』

★回答

単純に言えばそういうことです。

しかし、この減価償却費の計上で個人事業と法人事業では大き

な違いがあるのです。

☆質問

『どういう違いがあるのですか?』

★回答

法人税法では、減価償却費の計上は会社の任意なのですが、所

得税法では毎年減価償却費を強制的に計上しなければならない

のです。

☆質問

『へ~ そうなんですか?』

★回答

前期以前から繰り越してきた損失を消化するために、今期は所

得を出したいといった場合、法人は減価償却費の計上を見合わ

せて所得を捻出することができますが、個人事業では減価償却

費の計上が強制されてしまい、法人のような芸当はできません。

☆質問

『個人事業の方が融通が利かないということですね?』

★回答

そうですね。

法人だと減価償却費の計上を調節弁として利益や所得を操作可

能ですが、個人事業ではそういうわけに行かないのです。

あくまでも税務上の扱いだけのお話です。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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