週刊節税教室

知事の退職金

法人税・所得税
第242号 2006/8/7

☆質問

「知事の退職金がとてつもなく高いということで、テレビ局の取材があったみ

たいですね?」

★回答

「そうなんです」

「今年の2月は、政党支部に対する寄付金の件で取材があったのですが、

今回は知事の退職金の件で取材を受けました」

☆質問

「知事の退職金が高いと、何か税金上問題があるのですか?」

★回答

「あるんです」

☆質問

「どのような問題ですか?」

★回答

「退職金は税金が優遇されているのです」

☆質問

「なぜ税金が優遇されているのですか?」

★回答

「退職金をそもそも支給する理由を考える必要があります」

「退職金は、長年にわたる勤労の対価の後払いであり、かつ退職後の生活

の原資であることから税金が優遇されているのです」

☆質問

「なるほど」

「で、どのくらい優遇されているのですか?」

★回答

「退職金の税金は、まず退職金から勤続期間に応じた退職所得控除額を差

引き、その金額の2分の1だけが税金の対象となるのですが、それも他の所

得と合算されることのない分離課税方式になっています」

☆質問

「は~ そんなに優遇されているのですか?」

「知らなかった」

★回答

「そうすると、月給を少なくして4年後の退職とともにもらう退職金を多くする

と、退職金の優遇税制を目一杯享受できるわけです」 

☆質問

「どのくらい税金が違うのですか?」

★回答

「国務大臣と知事の4年間の退職金を含めた報酬額は、約1億2千万円で

ほぼ同じなのですが、知事の給料は国務大臣の3分の2、退職金はおよそ

国務大臣の10倍です」

「その結果、4年間の退職金を含めた報酬にかかる税金は、退職金が多い

知事の方が、国務大臣より約1千2百万円も少なくなるのです」

☆質問

「月の給料を少なくして、退職金を多くするだけでそんなに税金が違うので

すか? 驚いた!」

★回答

「たった4年間の勤続で4千万円もの退職金を出すのだからね」

☆質問

「民間の会社だったら税務上はどうなるのですか?」

★回答

「法人税法の規定で、過大役員退職金という規定があることから、過大退職金

ということで会社の経費にはならないと思います」

☆質問

「だから、皆やらないんですね?」

★回答

「そういうことです」

「法人税とは何も縁のない役所だからできる、税金逃れの1手法だというこ

とです」

明日8月8日(火)午前8:30~9:30の間くらいにテレビ朝日のスパーモーニ

ングで私のインタビューの状況が放映されます。

お時間のある方は、ぜひご覧になってください。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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