週刊節税教室

利益の資本組入れができなくなった

所得税・法人税
第258号 2006/12/4

☆質問

「私の会社の資本金は500万円ですが、対外的な理由から資本金を1,000万

円まで増やすつもりです」

★回答

「つまり、あと500万円増資するということですね?」

☆質問

「しかし、株主は私だけですが増資する資金がないのです」

「友人から会社の利益を資本金に振り替えられると聞いたのですが、本当

ですか?」

★回答

「利益の資本組入れという方法です」

「しかし、この方法は新会社法施行前でしたら可能でしたが、新会社法の

下ではすることができなくなってしまいました」

☆質問

「へ~ そうなんですか?」

★回答

「そうなんです」

☆質問

「何とかなりませんか?」

★回答

「配当をしてそのお金を増資資金に充てるしかないですね」

☆質問

「配当ですか?」

「具体的にはどうなりますか?」

★回答

「配当は新会社法では、いつでもできるようになりました」

「そこでまず会社が625万円の金銭配当をあなたにします」

☆質問

「なぜ500万円ではなくて625万円の配当なのですか?」

★回答

「会社が配当をすると、配当金額の20%を源泉所得税として預からなくて

はなりません」

「そうすると株主の手元に渡る配当金は、配当額の80%ということになり

ます」

☆質問

「なるほど、株主の手元に500万円渡るようにするために625万円の配当

をするということですか?」

★回答

「そのとおりです」

「そして、その500万円をあなたが会社に出資して資本金を1,000万円に

します」

☆質問

「なるほど、そうすれば元手なしで増資ができるわけですね」

「でも配当をもらうと私の個人の税金が増えるんですよね?」

★回答

「そうですね」

「他の所得と合算されて課税されます」

☆質問

「それは仕方ないですよね」

★回答

「そうですね」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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