週刊節税教室

グループ法人税制-寄付金・受贈益

法人税
第390号 2010/9/7

☆質問

「私は会社を持っていて、その会社は2つの100%子会社を持っています」

「子会社のA社は業績不振で子会社のB社は業績好調です」

「B社からA社に資金援助することを考えています」

「税金の扱いはどのようになりますか?」

★回答

「資金援助ということですが、B社からA社への貸付ということですか?」

☆質問

「いいえ、貸付でも増資でもない資金提供です」

「つまり、B社のお金をA社にあげてしまうということです」

★回答

「その場合、10月1日をはさんで税務上の取扱いは大きく変わります」

☆質問

「10月1日より前ではどのようになりますか?」

★回答

「B社ではA社にあげた金額が寄付金になります」

「一方、A社ではもらった金額が受贈益になります」

☆質問

「寄付金では損金に算入できる金額に制限がありますから、税金が不利になりますね」

★回答

「そうです」

☆質問

「A社では受贈益が計上されてこれも課税されるわけですね?」

★回答

「そうです、税金面ではあげた方も、もらった方も税金がかかってきます」

☆質問

「10月1日以降はどうなるのですか?」

★回答

「A社とB社のように、法人による完全支配関係にある法人間の無償による資金提供については、グループ税制が適用されます」

「つまり、B社で計上される寄付金が損金に算入されず、A社で計上される受贈益も益金に算入されない扱いとなるのです」

☆質問

「ということは、グループ税制の適用を受けると、グループ会社間で資金をいくら移動しても、法人税の課税対象にならないということですね?」

★回答

「そのとおりです」

「ただし、A社とB社の親会社では、寄付をしたB社の株式の金額を寄付金額だけ減少させ、逆にA社の株式の金額を同額増やすという税務上の処理をする必要があります」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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