週刊税務調査日記

しゃべりまくった調査(6)

第67号 2003/6/30

「校正のお仕事をかなり外注に出していますね」

と、調査官から聞かれて納税者は心中穏やかな状態ではありません。

▲納税者

「はい・・・」

●税務署

「支払はどのようにしていますか?」

▲納税者

「現金で支給しています」

●税務署

「領収書は取っていますか?」

▲納税者

「はい、とっています」

●税務署

総勘定元帳を見ながら、「この支払の領収書を見せてください」

▲納税者

「え~、田中さんですね。え~領収証、領収書は・・・」

と言いながら、書類の綴りをパラパラめくっています。

田中さんという外注先が名前だけですと、ここで完全にアウトです。

「あ、ありました。これです。」

と領収書を取り出して調査官に渡しました。

●税務署

調査官は、領収書を手にして田中さんの住所などをメモしています。

「この報酬の計算の根拠となった資料はありますか?」

▲納税者

「はい、単価が決まっていますので計算書はあります」

「これです」と言って調査官に手渡しました。

●税務署

計算書をじっと見ています。

「はい、結構です」と言って、資料を返しました。

田中さんは本物みたいです。セーフです。

■会計事務所

「更正の仕事って、具体的にどのようにやるのですか・・・」

と、話題を振ります。

▲納税者

「更正の仕事ってね~・・・」と納税者はうれしそうに話し出しました。

もう、外注先のサンプルチェックは終わりなのでしょうか。

終わりにすべく、納税者はしゃべりまくっています。

刻々と時間は経過していきます。

そして、4時半になりました。

最終ラウンドのゴングが鳴り、試合終了です。

納税者の反則勝ち・・・?でしょうか・・・困ったものです。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

無断転用・転載を禁止します。

本メールマガジンに掲載されている著作物に対する以下の行為は、著作権法上禁止されており、著作権侵害になります。

  • ○著作物を、私的利用の範囲を超えて権利者の許可なく複製する行為
  • ○著作物を、インターネット上で公衆が取得可能な状態にする行為
  • ○著作物の全部もしくは一部を権利者の許可なく改変する行為