週刊税務調査日記

定食屋さんの調査 (6)

第107号 2004/4/19

11時30分の開店から12時までの間にレジが打たれていない月があるとの指摘が調査官よりありました。

▲納税者

「そんなことありえないと思うんだけどな・・・」

■会計事務所

「そのレジペーパーを見せていただけますか?」

●税務署

「たとえば、このレジペーパーを見てください」

示されたレジペーパーを見ると、確かにレジへの打刻は12時過ぎからになっています。

この状態では意図的にレジを打たなかったと疑われても仕方ない状況です。

しかし、解せません。

納税者はそのようなことをやる方ではありません。

■会計事務所

「レジの時間を計算する時計が壊れていたのではないですか?」

●税務署

「いや、閉店時間は夜の11時で、レジペーパーの打刻は夜の11時で終わっていますから、お尻はあっているわけです」

「ですから、レジ内の時計が壊れていたという理由ではありません」

「時計が壊れていたのであれば、お尻の時間も狂ってくるわけですから」

▲納税者

「ちょうどその月にレジの調子がおかしかったような記憶があるんだけどな・・・」

●税務署

「いや、単刀直入に言うけれども」

「開店から30分間レジを打たないで売上代金を抜いていたんではないですか?」

▲納税者

「え、そんなことしてないよ」

「そんなことは絶対してない」

●税務署

「では、なぜその月だけ12時からレジを打ち始めているんですか?」

▲納税者

「いや、何かの間違いですよ、これは」

■会計事務所

「開店して周りに従業員がいるのにレジを一定の時間打たないなんてできないのではないですか?」

●税務署

「いや、それは分からないですけどね」

「我々もその場に居たわけではないですから」

▲納税者

「いや、これは絶対におかしい」

「私は絶対にそんなことをやってない」

「そんな指摘を受け入れるわけにはいかない」

納税者は顔を真っ赤にして否定しています。

レジペーパーだけを見ると確かに不自然ですが、ひと月だけそのようなことをやるでしょうか?

しかし、調査官は自信たっぷりの態度です。

何か原因があるような気がするのですが・・・・

         To be continued 

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公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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