週刊税務調査日記

お気の毒な調査 (2)

第125号 2004/8/30

調査官2名が昼食から戻ってきました。

■会計事務所

「食事は取れましたか?」

と、歯痛の調査官に聞いてみます。

●税務署

「いや、とても食事なんかできません」

と言って、手を頬に当てます。

■会計事務所

「どこの歯が痛むんですか?」

●税務署

「奥歯です・・・」

とても辛そうです。

午後は帳簿調査です。

調査官から要求された帳簿や証憑書類を提出し、調査官はチェックを始めました。

●税務署

「海外からの仕入の書類を見せてください」

▲納税者

「はい、分かりました」

すると、その時・・・

「ガッ、ガッ、ガッ、ガ~」

「ゴゴゴゴ ゴ-」

「ウィ-ン ウィ-ン キ―ン」

とてつもない轟音が響きわたりました。

コンクリートの床と壁を掘削している音です。

話し声も聞こえないほどの、響きわたるような音。

●税務署

「何ですかこれは?」

▲納税者

「すみません。隣の部屋で内装工事をやっているんです。」

■会計事務所

「いや、それにしてもすごい音ですね」

これでは、歯痛の調査官は溜まったものではありません。

「歯が痛いところに、このコンクリートを削る音、 平気ですか?」

●税務署

「ん~。チョッとこれ、どうにかなりませんか?」

▲納税者

「相当前から工事の予定が入ってましたからね」

「我慢していただくしかないですね」

と言っている間も

「キイ~ン キイ~ン ドドド」 とすごい音が響き渡ります。

歯痛の調査官は、手を頬に当てて調査どころではなさそうです。

右手は頬に、左手はこぶしを強く握りしめています。

工事は、一定の間隔を置きますが、絶え間なく行なわれています。

「おい、大丈夫か?」と統括官が聞いています。

しかし、そう言って統括官は、黙々と帳簿調査を進めています。

「あぁ、痛て・・・」と歯痛の調査官。

突然、席を立って、手を頬に当てて工事現場に向かいました。

「もう少しこの音何とかなりませんか?」と職人さんに聞いています。

「音出さねぇで、仕事できるわけね~だろ」とぶっきら棒に職人さんに言われています。

すごすごと手を頬に当てて、痛々しく帰ってきました。

歯が痛い方の目も真っ赤です。

お気の毒です。

To be continued 

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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