週刊税務調査日記

パソコン会計と税務調査(2)

第187号 2005/12/5

調査官が、毎月社長に渡している試算表の提出を求めてきました。

今現在のパソコン会計のデータとつき合わせることにより、遡ってのデータの修正や追加がないかを確認するのでしょう。

▲納税者

「はい、これが毎月社長に渡している試算表のファイルです」

●税務署

「決算整理仕訳を見せていただけますか?」

決算整理仕訳とは、決算時だけ必要となる仕訳のことです。

通常、決算整理前試算表に決算整理仕訳を加えると、決算書ができることになります。

調査官は、毎月社長に渡している試算表に決算整理仕訳を加えてみて、決算書の数字に合っているかどうかを確かめるのでしょう。

なんともいやらしい調査方法です。

▲納税者

「はい、これが決算整理仕訳です」

●税務署

「ん~ 決算整理仕訳を試算表の数字に加えても、決算書の数字に合わないですね・・・」

▲納税者

「どの科目が合いませんか?」

●税務署

「売上高と交際費の数字が合いませんね」

▲納税者

「え~ どうしよう・・・」

■会計事務所

「期中で、社長に試算表を提出した後に修正とかしませんか?」

▲納税者

「そういうことはほとんどしないんですけれど、なぜですかね・・・」

●税務署

「思い出せませんか?」

▲納税者

「ええ、後で調べてみますけれど・・・」

●税務署

「そしたら、弥生会計のバックアップデータをいただけますか?」

▲納税者

「パソコン会計のバックアップデータですか?」

●税務署

「そうです」

「フロッピーディスクに落としていただけますか?」

■会計事務所

納税者は、どうしたものかと言うように、私の顔を見ています。

「調査官から会計ソフトのデータの提供を求められたのは初めてなのですが、そういうことはよくされるのですか?」

●税務署

「よくではないですけれど、たまにありますよ」

■会計事務所

「パソコン会計のデータを税務署に持ち帰ってどうするのですか?」

●税務署

「税務署には、情報技術専門官という情報処理専門の担当者がいますので、データを分析してもらいます」

■会計事務所

「分析すると、どのようなことが分かるのですか?」

●税務署

「データの入力年月日も全て分かりますから、遡って入力したかどうかなんて一目瞭然です」

▲納税者

「へ~ すごいですね」

To be continued 

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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