週刊税務調査日記

裏金発覚?の調査 (5)

第197号 2006/2/20

追加の実地調査で、調査官から「外注先から社長の銀行口座にお金が振り込まれている」との指摘がありました。

このことは、どのようなことを意味しているのでしょうか?

通常は、外注先お金を支払うことはあっても、お金が入金されることはありませんし、返金などでも会社の預金口座に入金されるはずです。

それが社長個人の口座に入金されているということは、何か裏があると考えるのが通常でしょう。

●税務署

「社長の××銀行の普通預金口座に、外注先から50万円のお金が7月7日に振り込まれているのですが、これはどういうお金ですか?」

▲納税者(社長)

「えっ 外注先の山下さんから 振込ですか・・・」

ここで考えられるのが裏金作りです。

外注費に仮装して資金を外注先に支払、そのお金を個人にバックして裏金とするものです。

調査官もそう考えて再調査を依頼してきたのでしょう。

なんだか雲行きが怪しくなってきました。

●税務署

「社長、この山下さんからの入金、思い出せませんか?」

▲納税者(社長)

「ん~」

「あっ そうだ 思い出した」

「山下の社長が、営業車を購入したいけれど、金がないって言ってて、それで以前個人的にお金を貸したんですよ」

「その金が戻ってきたんだ」

「そうだ。そうだ。すっかり忘れていた。」

■会計事務所

「なるほど。そうだったんですか。」

「それなら個人の通帳に入金しているのも分かります」

●税務署

「それはいつのことですか?」

▲納税者(社長)

「3年くらい前かな・・・」

●税務署

「貸し付けたときに、契約書みたいのものは取り交わさなかったのですか?」

▲納税者(社長)

「うん 特別そういうことはしなかった」

「個人的に貸したんだからね」

●税務署

「その時は、山下さんに振込みで貸し付けたのですか?」

▲納税者(社長)

「いや 現金でだな」 

●税務署

「社長の銀行口座から引き出して現金を手渡ししたのですか?」

▲納税者(社長)

「確かそうだと思う」

●税務署

「その時の預金通帳を見せてもらえますか?」

To be continued

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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