週刊税務調査日記

年を越した税務調査 (4)

第247号 2007/2/26

調査官は、その後も不動産の売買における資金の流れを追うために、いろいろな資料を要求してきました。

こちらとしては、別に隠し立てすることも何もありませんので、要求されたことはすべて応じました。

●税務署

「それでは、今日の調査はこれで終わりにしたいと思います」

▲納税者

「今日の調査って、調査は今日だけですよね?」

●税務署

「ええ、そうなんですけれども・・・また署に戻りまして不足資料とかありましたら、そのときはよろしくお願いいたします」

▲納税者

「分かりました」

●税務署

「それでは失礼します」

調査官は、そう言って帰っていきました。

▲納税者

「先生、今回の調査の狙いは何ですか?」

■会計事務所

「お父さんが借りて相続した銀行借入金の資金の流れの確認ですね」

▲納税者

「私は、不動産事業の資金を自分の生活のための資金にしたり、運用したりなんてしていませんよ」

■会計事務所

「それは分かっています」

「何も問題はないと私も思っています」

その後、調査官から電話で追加資料の請求があってからは、しばらくの間、何も連絡はありませんでした。

12月の第2週に入って税務署から連絡がありました。

●税務署

「大変恐縮なのですが、税務署まで来ていただけないでしょうか?」

■会計事務所

「はい分かりました」

事務所の担当者と約束の日に税務署に行きます。

●税務署

「ご足労いただきましてありがとうございます」

■会計事務所

「どのようなお話ですか?」

「納税者の資金の流れは問題ないと思いますが?」

●税務署

「ええ その点は私どもも確認しました」

■会計事務所

「では、何も問題はないですよね?」

●税務署

「いや それがあるのです」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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