週刊なるほど!消費税

〔分割等_納税義務判定との関係〕

第414号 2015/10/19

【先 生】

「さて、今回からは、分割等があった場合の納税義務判定について、説明するとするわね。」

【生徒♂】

「分割等って何じゃらほい?」

【先 生】

「そうね、大雑把な例を挙げると例えば、A社という法人があって、そのA社は、食品事業と家電製品事業を営んでいたとするでしょ?」

【生徒♀】

「ええ。その2事業が商売の柱って事ですわね。」

【先 生】

「そのとおり。その商売の柱の1つである食品事業を新たに設立したa社に承継させる事を分割等って

呼ぶのよ。」

【生徒♂】

「なるほど。つまり、従来1社で営んでいた事業を2社に半分こに分けるってイメージだね?」

【先 生】

「そうよ。この例のような分割を『新設分割』って呼ぶのだけれど、この場合におけるA社を『分割親法人』と呼び、a社を『分割子法人』って呼ぶのよ。分割親法人と分割子法人は常に1社だけとは限らず、各々が2社以上になるケースもあるわ。」

【生徒♂】

「何となくイメージは分かったけど、分割等と納税義務判定がどう関係してくるのさ?」

【生徒♀】

「そうですわね。なるべく私達の頭を悩ませないで欲しいものですわね。」

【先 生】

「あなた達、まだ若いんだから少しくらい悩みなさいよ・・・。とそれはさておき、分割等と納税義務判定との関係なのだけれど、納税義務判定の大原則は何だったかしら?思い出してみて。」

【生徒♂】

「任せてよ!納税義務判定の大原則、それは『その事業年度の基準期間の課税売上高』で判定することさ。」

【生徒♀】

「そして、その基準期間の課税売上高が、1,000万円以下となると、他の特例により課税事業者となる場合を除き、その事業年度は免税事業者になるのですわ。」

【先 生】

「どうしたの?あなた達。そんなまともな回答をするだなんて・・・。あたしびっくりして体中の毛穴からリンパ液が吹き出しそうになったわ・・・」

【生徒♂】

「じゃあ、体中の毛穴に栓でもしときなよ。で、分割等と納税義務判定はどういう関係があるのさ?」

【先 生】

「さっきのA社の例で説明するわね。食品事業の年間売上高が500万円、家電製品事業の年間売上高が600万円だったと仮定するでしょ。この場合において、新たにa社を設立して食品事業を承継させると、A社の年間売上高は、家電製品事業の600万円だけになってしまうわよね?」

【生徒♂】

「そうか!!柴犬級に賢い僕には分かってしまったよ、先生!分割等をする事によって、分割親法人の課税売上高、つまり基準期間の課税売上高を減らす事が出来るから、納税義務判定に関係してくるんだね?」

【生徒♀】

「なるほど。という事は、分割等をする事によって免税事業者になろうとしても何やかんやと制限される訳ですわね。それにしても柴犬級の賢さって微妙ですわよね・・・」

【先 生】

「そういうこと♪この分割等には、複数のパターンがあって少し複雑だけれど基本的な考え方を理解すれば、仕組みが分かってくると思うわ。そうそう、柴犬って賢いわよ。“お手”をするし。では、今回はここまで。また次回!ばいばい!」

アトラス総合事務所 税理士
大森 浩次
◆発行 アトラス総合事務所

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